6ページ目〜大会準備!PART3〜

現在8時10分、俺らは体育館へ行って舞台上に机を並べて座っている九条先生のもとへ向かった。九条先生は俺と冬美の古典の先生でいつでも優しい事から生徒に好かれている。後何故か生徒に対しても敬語を使っている。


「おはようございます交流部として今日は大会準備を手伝わせてもらいます、夢野です。」


「おはようございます。今日はよろしくお願いします夢野さん。冬美さんと……立花くんも今日はよろしくお願いしますね。」


何で俺の前だけ間が空いたんですかね?先生からも影薄いとか泣いてしまうけど良いの?

内心傷つきまくりの俺に気付くことなく九条先生は今日の予定を話し出した。


「早速ですがコートはもう立ててしまったので得点板やシャトルの準備をお願いしても良いですか?」


「分かりました。じゃあ私とましろさんで各コートに得点板を置きに行くから璃久はシャトルを持ってきて。」


「はいよ。じゃあそっちは頼むわ。」


そう言い俺は体育館を出て隣にある体育倉庫へ向かった。シャトルを準備するだけで良いとは簡単な仕事この上ない。この程度ならいくらでも頼んでもらって構わない。


「よく考えたらここって来たことねぇな。」


いつも体育の時間は保健室に直行してたからなぁ。おっと、なんか悲しくなってきたぞ?


「お、あったあった。」


体育倉庫の中に入った俺はシャトルと書かれた筒が何本か入っている箱を見つけそれを持ち上げ体育館へ戻る。


「持ってきました、これであってます?」


そう言い舞台上の机に持ってきた箱を置く。


「はい、合ってますよ。ありがとうございます。」


ニコッと笑いかけた九条先生。こ、これかぁ!クラスの奴らが噂してる慈愛の女神の笑みってのは……。ま、眩しい。


「何してんですか……。」


眩しい!と腕で目を覆っていると冬美が少し気怠そうに俺を呼んだ。


「うおぁ!びっくりした……。だから声ぐらい掛けろって。」


「掛けましたけど"眩しい"とか言って私の声ガン無視だったじゃないですか。」


「あ、そうだったのか。何かあったのか?」


俺がそう聞くと冬美は呆れたようにため息をつきながら答える。


「はぁ、得点板を置き終わったから報告に来ただけですけど……そしたら立花くんが邪魔だったので。」


「ほんとにごめんて……そういやお前が体育着着てるの初めて見たかも。」


「まじで急すぎませんか……まぁ確かに立花くんに見られるのは初めてかもしれませんけど。」


いつもはツインテールなのに今日は動きやすくするためか髪を一つにまとめていてジャージもチャックは閉めず、羽織っただけの状態だ。制服だと分かりにくかったが、こいつ意外とでかい……何がとは言わないけどでかい。

そう、俺が冬美のを凝視していたなんて自分で気づけるわけもなく。


「どこ見てるんですか……。」


冬美は少し頬を赤くしてを手で覆う。


「……っ!?い、いや別にどこも見てねぇけど?」


「いや完全に見てましたね。ダメですよ、いくら私のスタイルが良くて可愛くてもそういうところを見られるのはちょっと恥ずかしいです。」


「スタイルはともかく可愛いは余計だろ……。」


「でも事実ですから。」


久しぶりに聞いたなぁこいつの隙あらば自画自賛。まぁ、今回ばかりは俺が悪いけども……。やっべー顔熱い、腐っても思春期男子である俺にとってかなり威力高い、仕草もも。


「何イチャついてるの二人して……。」


ゲッ、夏樹……タイミング最悪。絶体からかわれるじゃん。


「立花くんがさっきからエッチな視線を飛ばしてくるんですよ。」


「お、おい!さっきからって人聞きの悪い言い方すんな!言うて十数秒ぐらいだろ!」


「結局見てるんじゃない……。」


しまった!つい口が滑ってしまった。だが夏樹はからかうのではなく呆れた様子だ、珍しいな……。


「はーい。」


恥ずかしさを隠すために俺は顔を赤くしながらも言い訳をしていると手を叩きながら九条先生が仲介に入った。


「準備も終わってそうですし、もうすぐ他校の方達が来ますので上の応援席で待機してもらっても良いですか?」


「あ、はい。分かりました。」


おぉ!九条先生ナイスタイミング!仕方ないなと俺は冬美と言い争いをするのを一旦やめ、応援席へ向かうべく階段を上る。


「良かったわね。あそこで話そらせてもらえて。あのままだとバド部の人たちから変態扱いされるとこだったから。」


「やっぱお前からかう気満々だったか……。まぁ確かにあれはタイミング良かったな。」


「からかう気はないわよ。事実を確かめただけ。ただ、今日から私たちの中では言い訳がましい変態って言う名が通るけどね。」


「それってやっぱからかう気しかないじゃねぇか。って、おい!」


ふふ、と笑い夏樹は走って階段を登って行ってしまった……。何がしたいんだあいつは。

俺はため息を、冬美は「あはは……。」と苦笑いしながら夏樹の後をついて行った。


その後ダラダラと試合を観ていたが特にこれと言ったイベントもなく、俺らの高校のバド部も都大会行けそうぐらいで負けていた。それから片付けとか色々あったけど疲れすぎてあんまり覚えていない。運動不足ってこうも身体に響くのか……。まぁ今日はこのまま寝よう……。そう思い俺はベッドに意識を投げた。



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投稿頻度を高くするとは何だったのか。普通に今回も遅れましたすみません。

こんな不定期更新でも読んでいただけてとてもありがたいです。


大会準備編はこれで終わりの予定です。次回からましろさんと璃久くんとのお泊まり……?


楽しみと思う方はフォロー、いいねをよろしくお願いします。


もうぼっちって何だっけと思ってます。書いてる本人が言うのも何ですけどね(^^)


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