第96話 『2023 6月・小烏さんちの台所(野菜戦争、美味しく作って皿に盛れ!)』 小烏 つむぎさん

〇作品 『2023 6月・小烏さんちの台所(野菜戦争、美味しく作って皿に盛れ!)』

https://kakuyomu.jp/works/16817330657637429136

 

〇作者 小烏 つむぎさん


【作品の状態】

 料理エッセイ。2万字程度。完結済。


【セルフレイティング】

 なし。


【作品を見つけた経緯】

 小烏 つむぎさんの『田んぼと空の間には山があるのだ!』という別のエッセイを先に拝読し(当作品で紹介もしています)、料理だけに特化したエッセイを連載されていたのでこちらを読み始めました。


【ざっくりと内容説明】

 ひと月一作品。毎日の料理の内容を、さくっと紹介していらっしゃいます。

 一話、一話が短く、エピソードごとに内容が完結しているので、隙間時間に読むのもおすすめです。


【感想】

 タイムパフォーマンスを「タイパ」と言い、自らの時間の効率化を図って、食事すらもたった5~10分で終わらせてしまうようなこの時代。料理をするなんてもってのほかと思っている人もいるかもしれません。逆に、忙しすぎて料理をしたくてもできない人もいるでしょう。

 しかし簡単な料理でも、誰かが自分のために、(もしくは自分が誰かのために、)おいしいものを作って食べたとき(食べてもらったとき)、人は体だけでなく、心も満たされることを私たちは知っています。


 小烏さんの毎日更新する料理のエッセイは、それを疑似体験できる感じがします。

 小烏さんがいる台所にお呼ばれして、読み手はそこにあるテーブルの席に座ります(←私が勝手に想像しているだけですが。ちなみに、その台所というのが、いい意味で古く、使い込まれたような料理道具が並んでいるんです。小さな窓があって、そこから小烏さんの家の畑なんかが見えたりして、勝手口も開きっぱなしで。そして、小烏さんがこちらに背を向けて料理をしている――と本当にめちゃくちゃ勝手に妄想しています。ダイニングキッチンかもしれないのに 笑)。


 そして、小烏さんがまな板の上で何かを切ったり、鍋で何かを煮込んだりする様子を見ているのですが、料理をしながら色々説明してくれるので、だんだんその手元が気になってきて、鍋やフライパンのなかを覗きにいきます。すると、ふわっと良い香りがしてきます。


 そして出来上がったら、「さあ、座って。どうぞ召し上がれ」と、料理を出してくれます。小烏さんの文章は料理の過程が主なので、香りなどはあまり表現されていませんが、それが逆に読み手の想像力を掻き立てるような気がします。

 少し、引用させてもらいましょう。


 >熱いうちにジャガイモにバターを乗せ、醤油をちゃーっとかけます。

 >バターと醤油を全体に絡めるように混ぜましょう。

 >最後に刻んだパセリを散らします。 


 どうです? もう、これを読んだだけでバターの香りと、お醤油の香りがふわっとしてきませんか? それにパセリも散らすのだそうです。アツアツの湯気にかかったら、きっとそれも香ってくるのだろうなということが想像できるのではないでしょうか。(ちなみに料理の写真を近況ノートに載せてくださっています)


 そしてこのエッセイのもう一つの魅力が、小烏さんの料理を評価する義母さまがいらっしゃること。一言、二言しか言われないようですが、なかなか手厳しい。作っても箸を付けないときもあります。

 小烏さんが洒落た料理を作ると辛口評価になりやすい義母さまですが、「初夏のおかず【ピーマン】 ピーマンの肉詰め」では驚きの評価が‼ 気になった方は是非お読みください。


 誰かが作った料理を見たい、料理の作り方を知りたい、メニューの参考にしたい……。

 読む方の目的は色々あると思いますが、きっと小烏さんの台所に訪れたら、ふっと肩の力が抜けてほっとできるのではないかなと思います。


 今日は『2023 6月・小烏さんちの台所(野菜戦争、美味しく作って皿に盛れ!)』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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