7月 July

第97話 『ハロウィンの小さな魔女【辞書君とスマホちゃん番外編】』 鐘古こよみさん

〇作品 『ハロウィンの小さな魔女【辞書君とスマホちゃん番外編】』

 https://kakuyomu.jp/works/16817330657814525220

 

〇作者 鐘古こよみさん


【作品の状態】

 短編・完結済。


【セルフレイティング】

 なし。


【作品を見つけた経緯】

 鐘古さんの『辞書君とスマホちゃん』という作品が好きでして、その番外編が出たので読みました。

『辞書君とスマホちゃん』は当作品の紹介文でも取り上げています。


【ざっくりと内容説明】

 主人公は、小学四年生の結衣ちゃん。彼女の家は、「森角商店街」というところでおじいさんの代から文房具店を営んでいます。

 しかし大型ショッピングモールが出来たために、来てくれる人の数が減少しているようです。そのため、人を呼んで活気づけようと、商工会青年部が話し合い「10月だし、ハロウィンのイベントをやろう」ということになるのです。

 そして結衣ちゃんのお母さんは、「仮装してイベントに参加してくれるお友達を誘って欲しい」とお願いします。

 さて、結衣ちゃんは友達を誘って、無事にハロウィンのイベントに参加することができるのでしょうか?



【作者さんがもしこれをお読みになっていたら】

 続編作る予定はございますでしょうか……? また続きがあれば読みたいです。(プレッシャーになったらすみませんっ)

 


【感想】(今回は『辞書君とスマホちゃん』愛を勝手に語ります)

『辞書君とスマホちゃん』の続編の作品。

 しかし続編とはいっても、前回登場した「辞書くん」「スマホちゃん」がメインではありません。彼らの周囲にいる、また別の人たちに焦点を当てた話になっていますが、今回も笑いと感動のある素敵なお話になっています。


『辞書君とスマホちゃん』シリーズの特徴は、「笑い」と「救い」があることかなと私は思っています。

 主人公たちは小学生ですが、小学生の世界にも小さな問題が漂っています。

 それは勝手な思い込みや偏見によって大きくなり、いつしか「いじめ」というものになりかねないものです。前作の『辞書君とスマホちゃん』も、そういう噂によって本人の姿が捻じ曲げられたことで、「スマホちゃん」はクラスの女子に変な風に見られていました。そして「辞書君」もそれに引っ張られて、本当の「スマホちゃん」の姿を見ないで彼女のことを判断してしまっていたのです。


 今回は小学四年生の結衣ちゃんが、クラスの友達を誘って、商店街のハロウィンのイベントに参加するのがメインのお話(「辞書君」と「スマホちゃん」も脇役としてちゃんと登場します)。

 結衣ちゃんには四人の友達がいるのでその子たちを誘うのですが、このとき「清水香帆ちゃん」という子にも声を掛けます。香帆ちゃんは結衣ちゃんにとって、「友達」とよりも、単なるクラスメイトという感じ。しかし、ハロウィンのイベントの話を聞こえていただろうと思ったので、のけ者にするのは変だと思ったのです。


 香帆ちゃんは、いじめられているわけではないけれど、いつも一人でいる子。

 家事と弟の世話で忙しいせいか、放課後誰かと遊んでいることもありません。それには事情があるのですが、このハロウィンのイベントには、参加したいと言う香帆ちゃん。

 しかし、ハロウィンのイベントの当日、香帆ちゃんにある困ったことが起こってしまうのです。


 何てことだ! と思った読み手の皆さん。ご安心あれ。このシリーズには、最強のヒーロー(←「英雄」という意味の方)がいます。

 それが「辞書くん」の叔母である里子さんです。もうこの方、型破りといいますか、世間一般で言ったら「空気読めない人」なのかもしれませんが、私は「空気を変える力がある人」だと思っています。

 彼女は、普通は「無理!」「できない!」と思いがちな考えを、簡単にぶち壊します(褒めてます)。

 そして困っている人に「大丈夫?」と聞くのではなくて、最初から行動をして、いい方向へ転換させてしまうのです。(本人は無自覚です。それがいいところなのですが 笑)


 香帆ちゃんは小学四年生なのに、沢山の荷物を背負っている子です。自分だけでなく、母親が大変なことも分かっているので、「辛いです」「大変です」と言えないのです。ですから、「大丈夫?」と聞かれたら、きっと辛いのに、大変なのに「大丈夫です」と答えたことでしょう。

 ですが、里子さんはそういうことを一切聞きません。そのお陰で、香帆ちゃんは持っていた荷物が少し軽くすることができましたし、結衣ちゃんも勇気を出し、彼女に手を差し伸べることができたのです。


 多分、この作品を読んだことのない方は、私の説明が意味分からないかもしれませんが、「どういうこと?」と思った方は是非お読みください。(ちなみに、ハッピーエンドです。感動して泣くのと、笑わせられて泣くのが交互に来ます)


 色んな読み手の方がいらっしゃるので、こういうお話がお好きではない方もいるかもしれません。でも、明るい気持ちになりたいなと思っている方には、ぴったりな作品だと思います。


 今日は『ハロウィンの小さな魔女【辞書君とスマホちゃん番外編】』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る