前のエピソード――第74話　『バナナケーキとポン太のはなし』　倉沢トモエさん

〇作品　『ぬいぐるみを魔王から取り戻せ！』

　https://kakuyomu.jp/works/16817330653965577911

〇作者　秋雨千尋さん

【作品の状態】

　777文字・完結済！

　KAC2023・お題「ぬいぐるみ」参加作品

【セルフレイティング】

　なし。

【作品を見つけた経緯】

『KAC2023 ～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2023～』の期間なので、参加作品をマイペースに読んでおります。

【感想】(ネタバレしています)

　笑いました(笑)

　本文は全て会話文だけ。それなのに、ちゃんと物語が成り立っています。

　タイトル通り勇者がぬいぐるみを魔王から取り戻す話で、そのぬいぐるみというのが安眠効果抜群なのです(ドラ〇もんの道具『グッスリまくら』みたいです)。ぬいぐるみの持ち主はお姫様。従者と思（おぼ）しき人が「昼寝前に取り戻せ」と言っているので、まだ幼い子なのかなと勝手に想像しました。

　勇者は仕方なく魔王のところに行って「ぬいぐるみを返せ」と言うのですが、魔王は不眠症なのでぬいぐるみが返せないとのこと。確かに不眠症なら、そのぬいぐるみは手放せそうにはないですよね。

　しかし勇者も「そうですか」と引き下がるわけにはいきません。取り戻せなかったら、死罪にすると姫の従者に言われているからです。

　そのため魔王に「ぬいぐるみの代わりに俺がこういうことをしてやるから」と提案します。どうやら勇者の能力が、魔王が安眠できるための方法に役に立ちそうなのです。また、説得の仕方もいい感じの話になっていて、読んでいるこっちはほのぼのとしてしまいます。

　そもそも魔王が「魔王」と言う割に全く怖い感じがありません。お話の最後だけ魔王っぽいことをしていますが、不眠で困っているちょっと我儘な人という印象です。それに魔王は、勇者の身の上に共感し「友達になろう」とまで言ってしまいます。結構ちょろいです。

　さて説得が功を奏して、勇者は魔王からぬいぐるみを返してもらうことになるのですが、一筋縄では終わりません。安眠効果抜群のぬいぐるみですから、手にした勇者は眠ってしまうのです。姫の昼寝前までに取り返して来いと言われていましたが、果たして間に合ったのでしょうか？　この続きは『ぬいぐるみを魔王から取り戻せ！』にてどうぞ。

　たった777文字で会話文だけなのに、何度も山があってとても面白い話でした。

　今日は『ぬいぐるみを魔王から取り戻せ！』をご紹介しました。

　それでは次回、またお会いしましょう。