9月 September

第47話 『無職の乗馬日記🐎』 碧海 山葵さん

〇作品 『無職の乗馬日記🐎』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860730165027

 

〇作者 

 碧海 山葵さん


【作品の状態】

 完結済。


【作品を見つけた経緯】

 作者の碧海 山葵さんは、私が行っていた『TENSAKU(添削) 〜ビギナー編〜』(作品を添削する企画で、今は募集お休み中です)に参加して下さった方です。

 私とのやり取りを一番熱心にされていた方なので、とても印象に残っており、何か別の作品を読んでみたいなと思っていたときに『無職の乗馬日記🐎』を見つけました。


【ざっくりと内容説明】

 タイトル通り、作者さんが馬の愛に目覚め、乗馬の世界にどんどん入り込んでいく話です。そしてタイトル通り無職なのに、競馬行ってて(大丈夫かなと思いつつ)……馬への愛が凄いです。


【表記の仕方に特徴があります】

 作者さんの特徴なのですが、スマホで読む人向けになのか途中の項目まで、文章が短く区切ってあります。

 もしかすると気になる方は気になるかもですが、内容は面白いですし馬のことも分かり易く書いてあるので、ついていけると思います。(横書きの方が読みやすいと思います)


【感想】

 面白いエッセイです。

 馬や競馬が好きな人はもちろん、その世界を知らない人も楽しむことができると思います。


 私は競馬や馬のことはよくわからないのですが、カクヨムさんでエッセイを書いている方の中でもちらほらと見かけることがありますし、競馬のCMや馬に絡んだ作品もあるので、今は案外熱いのかもしれませんね。そして、その魅力に取りつかれてしまった人の話というのは、興味深いです。


 碧海さんのエッセイは、自分の気持ちと、競馬と乗馬と馬の魅力が上手い具合に混ざり合っていて、そこに興味が惹かれます。


 また読んでいて馬への愛がひしひしと伝わってくるのですが、それと同時に悲しい話も時折書かれます。


「サラブレッド」という項目で、引退した馬がどうなっているのかが書かれているのですが、多くの場合「他のペットよりも膨大な食費等、飼育費がかかる馬は殺処分になったり、食肉用(馬刺し)処分になったり家畜飼料になったりすることがほとんどなのだそうです」(『無職の乗馬日記🐎』より引用)と言うことが書かれています。


 競馬という世界は歴史もあるし、お金も動いて経済効果もあります。何より、馬が好きな人たちにとってはとっても魅力的な世界なのでしょうけれど、華やかな舞台から立ち去った馬の生き方がどういうものなのかと問われると複雑な気持ちになる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 競馬の馬が引退したあとどうなるか。

 それを知っている人は案外いるように思いますが、表舞台から退いた馬を生かすということを含めて、競馬という世界が成り立って行く必要があるのかな、ということを読んでいて感じました。


 また生き物のともに競技をするというのは、人同士の競技とはまた違ったものがあるなと改めて思いました。


 オリンピックの競技でも「馬術」がありましたよね。テレビの番組枠には組み込まれていなかったようなので、私は動画配信サイトからリアルタイムで見ていました。

 馬に、騎手の思いを伝えてその動きをさせる――。

 それを「調教」と言って気嫌う人もいるかもしれませんが、私は馬と騎手の信頼関係がなせる業なのではないかと思いながら見ていました。ルールとかはよく分からなかったので、何がミスで、何が成功だったのかはイマイチ把握できなかったのですが「凄いなぁ」と思いながら、去年の夏に見ていたことを思い出しました。

 

『無職の乗馬日記🐎』は、馬の話も面白いのですが、時折出てくる作者さんの「無職状況」もまたハラハラしながらも楽しんでいます(楽しんでいいのかな……)。


 乗馬を機になのか、元々職場が合わなかったのか、そこまでは書いていませんでしたが、馬の愛に目覚めた後、作者さんは仕事を辞めてしまいます。馬が好きで乗馬したいけれど、生活をしていかなくてはならないので節約しているという状況で、時折「大丈夫かな……」と普通に心配してしまいます。


 しかし、こうも思います。

 人生一度きりです。

 やりたいことがあったら、それをやった方がいい、と。

 もちろん、無謀なやり方はお勧めしません。計画を立てるべきところはちゃんと立てる必要があります。でも、それがきちんと出来ているのであれば、夢に向かってチャレンジしたっていいと思うのです。


 無職になったことは計画通りだったかどうかは分かりませんが、作者さんはきっとその点で、充実した生活を送っていたんじゃないかなと思います。

 馬の話。好きなことを追いかける気持ち。そういう色んなことを読むことが出来る作品でした。


 今日は『無職の乗馬日記🐎』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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