12月 December
第29話 『【完結】残念なことに、タバコにはいい思い出しかない』 かしこまりこさん
〇作品 『【完結】残念なことに、タバコにはいい思い出しかない』
https://kakuyomu.jp/works/16816700426840333719
〇作者 かしこまりこさん
【作品の状態】
12,000字程度の短編。
タイトルにもありますが、完結済です。
【作品を見つけた経緯】
かしこまりこさんのエッセイを読んでいて、読んでみようと思いました。
【読もうと思った理由】
「タバコ」というキーワードが、物語にどう影響するのか気になったからです。
【ざっくりと内容説明】
主人公の本田くんは、タバコは吸いません。それは健康のため。
でも、彼が惹かれる人は、決まってタバコを吸っています。
彼は何故、タバコを吸う女性を好きになるのか。この答えが最後にあります。
【感想】
率直に言って、面白い作品でした。
すぐにでも内容について語りたいところですが、その前にかしこさんの文章について語らせてください。
元々この作者さんの文体には、人を惹きつけるものがあると思っていましたが、今回も読み始めたらすぐにそのまま終わりまで読んでしまいました。「文章を読まないと!」と頑張らなくても、自然と読める感覚があります。少なくとも私はそう感じました。
文章とは不思議なもので、書いた人によってその特色が違います。かしこさんの文章は、「必要な物だけを残している」という感じがします。そのせいでしょうか。読者は物語のどこを見たらいいのかはっきりしているんです。よって、場面の想像がしやすい。
読むための意識を向けなくても、すうっと言葉が入って来るので、とても読みやすい。よって、少し読むのが苦手な人でも楽に読むことが出来ますし、質のいい内容なので短いながらも満足感が得られると思います。
では内容について。
キーポイントは「タバコ」。
実を申しますと私は「タバコ」が嫌いな人間です(笑)
主人公の本田くんと同じで、体によくないから吸いたくないタイプ。正直、吸った後の人が残していく「残り香」を嗅ぐのもあまり好きではありません。とはいえ、人には「吸うな」とは強制しませんよ(笑) それは個人の自由ですから、こちらに迷惑が掛からなければそれでいいと思っています。
しかし、本田くんはタバコを吸う女性に惹かれるんですね。最初は小学生のころ、父と行ったバーにいたママに。次は高校2年生のころ、山川さんという同級生の女の子に。そして大人になってから出会った、ミキちゃんに。
物語は最初から最後まで、本田くんの一人称で語られるのですが、どの女性たちがタバコを吸っているところが妖艶なんですよねぇ。
どの人たちも魅力はそれぞれ違うのですが、彼女たちがうちに秘める何かを、本田くんの目を通してみることが出来ます。
自分が吸わないタバコを吸っている女性たち。
その姿を見ると、自分のもっていないものをもっているかのような心地になるのかもしれません。
ミキちゃんがタバコを吸うシーンはあまり登場しないのですが、最後の話で本田君がミキちゃんのことを思い出すところがあるんです。そこにタバコを吸っているシーンがあるのですが、とっても魅力的です。
>ミキちゃんの飾りたてられた手が、細いタバコを器用に支えて、口元に持っていくのを見るのが好きだった。
本当にミキちゃんの指先が見えてきそうな一文だな、と私は思います。
今日は『【完結】残念なことに、タバコにはいい思い出しかない』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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