8月 August
第24話 『さいわいなことり』 オレンジ11さん
*今回は2作品連続で、同じ作者さんの作品をご紹介いたします。
〇作品 『さいわいなことり』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887061869
〇作者 オレンジ11さん
【作品の状態】
完結済。
【作品を見つけた経緯】
昔、私が自主企画した「『心がじんわりと温かくなるような作品』をお待ちしております」に参加して下さった作品です。
【ざっくりと内容説明】
登場人物は、和哉と彼の娘・友里、義母の3人。
彼らのほっこりとする日常が描かれています。
【感想】
読者の皆さんは、カレーは何派ですか?
甘口、中辛、辛口の味の辛さの違いもありますが、今はカレーも種類が豊富で普通のカレーもあればドライカレーなどもありますよね。
一人暮らしであれば、レトルトのカレーを買って好きな味で済ませる方もおられるかも分かりませんが、家族が多いとその中で「甘口がいい」「辛口がいい」といって意見が分かれることもあるかもしれません。
そうなると、作り手はどうするのか。
家庭の多くは、誰かの味の好みに合わせることになると思いますが、この作品の中では子供用と大人用の2種類のカレーが作られます。
カレーの作り手は和哉の義母。妻である理世の母親です。
和哉と理世が仕事の関係で、娘の友里の面倒を見られないことから、義母に来てもらい、夕飯を作ってもらったのですが、和哉は2種類のカレーに戸惑います。
――気を使わせてしまったんだろうか。
私も、同じことをされたら和哉と同じように悩むような気がします。娘の面倒を見てもらっているだけでも申し訳ないのに、カレーまで。しかも2種類作ってもらうなんて。
さらに和哉にはどうしてもそう思ってしまう過去があり、より強く「気を使わせてしまった」と考えたのだと思います。
しかし、この作品にはその気持ちをすうっと消してくれる魔法があるのです。それを何と言ったらいいのか難しいのですが、この作品を読み終わったとき、胸の奥からじわぁっと温かいものが溢れ出るのがその証拠といいましょうか。
数年前に自主企画で募集した作品でしたが、私の心の奥にずっと残っていて、再び読んでみると、やはりあのときと同じようにじんわりと温かいものが込み上げてきました。
友里の愛らしさと、和哉の人柄の良さ。そして義母の優しさ。
それらが相まると、物語のなかは居心地の良い場所になり、自分もその生活の一部に入り込みたくなるような、そんな感覚があります。当たり前の生活のなかに、こんな素敵なことがあるのか、ということにも気づかせてくれます。
そしてこのお話の最大の魅力は、最初から最後まで幼い友里の会話がとても愛らしく、義母が娘の夫と孫娘に対する優しい接し方を読んでいるけで幸せな気持ちになれることです。くどくどとしたような回りくどい説明もなく、すんなりとお話の中に入り込めるので、とても読みやすいと感じました。
また『さいわいなことり』と題名にあるように、最後はことりの登場によって締めくくられます。友里のお皿と、和哉の思い出のカレー、そして義母が作ったカレーが上手く絡み合い、家族の優しさを感じられる作品となっています。
気になる方は読んでみてはいかがでしょうか。
今日は『さいわいなことり』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。