第25話 『コップの中の漣』 オレンジ11さん

〇作品 『コップの中の漣』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054886330978

 

〇作者 オレンジ11さん


【作品の状態】

 短編・完結済です。



【作品を見つけた経緯】

 この方の別の作品を元々読んだことがあり、それをきっかけにエッセイを拝読していました。その際に、こちらを作品の概要欄で見つけて読んでみました。



【ざっくりと内容説明】

 774文字(掌編小説)なので。感想の中に書きます。



【読者の皆さんへ】

 この作品は本当に短いので、まだ読んでいらっしゃらない方は、この先にある私の感想を読むよりも、直接その作品を読みに行かれた方が良いと思います! 短いので、どんな内容かざっくり書いてもネタバレになってしまうのです……!

 と、一応お伝えしておきます!(笑)



【感想】

 登場人物は、以前こちらで紹介した『さいわいなことり』に登場する、和哉と娘の友里、そして妻の理世の話です。『コップの中の漣』も上記の作品と同じように日常を切り取ったような作品なのですが、774文字とは思えないほどの充実感があります。


 イヤイヤ期の友里は「イヤ」と言って、突如として難解な謎解き問題を提示します。

 最初のお題は「食べている途中で折れたバナナをくっつける」というもの。

 和哉は答えられず困惑。何とかしようと二歳児に、「こうすれば、こうなる」と理屈を言っても、「イヤ!」と言われ頑として受け入れてくれません。

 しかし、妻の理世はそれをすんなりと解決してみせるので、和哉と同じように読者であるこちらも驚いてしまいました。


 友里を見ていると、私は知り合いの子供を思い出します。

 幼稚園児ころだったと思いますが、「ねえ、みて!」と得意気な顔をし、私の手を引っ張ったその子が見せてくれたのは、広告の紙を棒状にし、それを折り曲げたり丸めたりして、1~10までの数字を表現したものでした。


 数字が分かることもすごいなと思いましたが、ちゃんとした形で1~10までを広告の紙で作った発想に驚きました。子供には常識がない分、自分の手の中でできることをめいいっぱい使って表現しようとするのですね。


 そして、そういう経験をして「できる」「できない」が出てくるのかもしれませんが、子供のようなとらわれない発想が、時として人々の生活に「小さな豊かさ」をもたらすのかもしれません。


 実際、友里の行動は私にとって驚きで、まさか「折れたバナナをくっつける」という方法があると考えもしませんでしたから。それはある意味、諦めていたものも発想によってはどうにかなるのかもしれない、と言う風にも捉えられるのかもしれません。


 さて、和哉は一つの問題が解決し、ほっとしたのも束の間。

 友里は再び、難解な問題を提示します。

 今度は「コップの中の漣を止める」です。

 さて皆さんは、友里に「イヤ!」と言われないように、答えを導き出すことができるでしょうか。



 今日は『コップの中の漣』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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