第1話
炎天下の中、目的の施設に着いた。内装は市役所のような場所で発券番号により呼び出されるシステムになっている。
総合窓口で待つこと10分呼び出しがかかった。
「本日はどのような件で?」
市役所に居そうな女性の方に聞かれて私は答えた。
「親戚が蝉時雨病で亡くなり、その件で伺いました」
そう言いつつおばさんから送られてきた資料を提示する。
「拝見致します。こちら、ご本人でお間違いないでしょうか?」
頷くと受領の処理をしながら私に話しかけたてきた。
「この度は、ご冥福をお祈りします。つきまして親族の方には育児権が存在しますがお受けになられますか?」
この事については政府より蝉時雨病を受け、孤児となった子供の育児権というものがあると発表されていた。基本的には5歳までの期間ではあるが、私には荷が重い事なのでこの件は施設に預けるとおばさんからも連絡を受けている。
「育児権は無しでお願いします」
「かしこまりました。では、こちらの方で抜擢された育児担当者が法律に則り育児するのでこちらにサインをお願い致します」
私は差し出された紙にサインをし、説明を受けた。
「最初の1ヶ月のみ、担当者と連絡をとっていただき、その後はこちらで育児するという形を取らせていただきますのでご了承ください」
「連絡を取るのは頻繁に行う必要がありますか?」
正直、育児権という物があるので責任は感じるが専門の方に任せる方がいいと思うので、1ヶ月の連絡も必要なさそうと感じた。
「週2回の面会と適度な育児連絡になります。あくまで経過確認程度のものなので」
私がわかりましたと応えると、後日担当者の連絡先と初回面談の連絡を送りますと言って手続きは終了した。
「なんか生きにくい世の中になってきたな……」
恋愛による発作は個人差があり、必ずしもなるとは限らないが多くの人がこの病で亡くなっている。
将来家庭を持つ事がリスクとなるなら、私は恋愛も結婚もしなくていいと感じた。
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