蝉時雨
猫耳魔王
プロローグ
暑い夏の日、親戚のおばちゃんからの電話がかかってきた。
「もしもし。今そっちの方に住んでいた親戚の〇〇さんが蝉時雨病で亡くなったそうなのよ」
蝉時雨病とよばれるこの病気は、今世界を騒がしている恋すると1週間で臓器不全を起こし死に至るという何ともフィクション的な病のことである。
「え……」
正直この病に対して全く実感がなく、自分の親戚にこの病による被害者が出るなんて想像もしていなかった。
「それでね。諸々の手続きは終わっているそうなんだけど、産まれたばかりの赤ちゃんが施設に預けられているの。」
「貴方の家が1番近くにあるそうで親族として直接話を聞いて貰えないかしら?詳しくはメールで送るから。」
私は社会人3年目で都会に一人暮らしをしている。実家は田舎にあるので連絡が来たのだろうか。
「分かりました。」
世間ではこの病により問題が生じた場合、市役所や専門の施設体制が整って来ているが、まだ分からないことの方が多いため出来るだけ異性との恋愛は控えるように注意勧告がされている。
私の職場でも男性のみの採用となっている為出会いが全くない。元々、彼女もいなかった為心配なことは何もないと感じていた。
「早めに行っておくか。」
私は資料を確認して鞄に詰め込み、例の施設に向かうことにした。
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