2話『死死死死死死死、デストロイ』

 体中のありとあらゆる細胞が悲鳴を上げている。もしくは切られもしくは潰されもしくは捻られもしくは焼かれもしくは食われもしくは腐れもしくはもしくはもしくは死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死んでいるけど死んでおらず死際の孤独を味わい更に締められ引き摺られ撥ねられ擦られ沈められられられられられ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺られ続けても殺されておらず全てが同時に全てが鮮明に全てが詳細に全てが生々しい死を殺害され続けて殺される事を死んで殺され死んでいる事を殺され死が目の前で殺され死が死なせてくれず殺してくれず砕かれ砕かれ砕かれ砕かれ砕かれ続けても生きていた。意識ははっきりとしており思考は明瞭だが狂っておりその自分が狂っていく様を狂っているままに明確に把握しながら死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死んで殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺されている事も鮮明に体感しているので死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ死なせてくれ殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてと貝沼かいぬま 三四郎さんしろうは泣き叫んでいた。心の中で。依然として体はいう事を聞かずのたうち回れないし声も出せないので顎が外れるほど口を開ける他なかった。


 突如変化が訪れた。変わらず死に続けているのだがそこは見覚えのある場所だった。黒い海。底無しの暗い海。溺れているがもはや死に続けているので関係がなかった。その漆黒が、その深淵が、むしろ心地よかった。沈んでいくのを感じる。もっと奥へ。もっと深く。体は殺され続けているが只々下へ下へ沈んでいく事を望んだ。望み通りゆっくり沈んでいく。心地よかった。死死死死死死死死死死に続けているがそれでも構わない。殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺され続けているがどうでもいい。更なる深淵へ。どぷりどぷりと精神が浸り続けていくのを感じる。心地よい。蝕み犯し溶けていくのが、心が、魂が、心地よい。もっともっと。もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとと求めた。そしてあれがきたのだ。あの6本の腕。そうだ。抱擁してくれ。私を抱擁。抱擁を。抱いてくれ。抱き寄せてくれ。抱き締めてくれ。ぐちゃぐちゃになるまで。抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いてくれ。




 あぁ……ありがとう。




 マルス・ディス・ゴランセム卿はモニターに映し出されている異世界人のデータをウキウキしながら眺めていた。メイドに「そろそろおやつの時間かの?わしの好物のケーキと紅茶を持ってきておくれ」と椅子をクルクルさせメイドのケツを叩きながら頼むほど気分は高揚していた。畏まりましたと機械的に命令を聞くメイド。屋敷にいる者は例外なく全て洗脳済み。なので何があろうと何を見ようと何をされようとも。完璧だ。さてさて、と舌舐めずりをしながら改めて今回の異世界人のデータを見る。ステイタスやスキル項目やジョブ項目など今はどうでもいい。特筆すべきはこの『特記事項』である。


※特記事項※

【解除不可】深淵の呪い(ステイタスオールマイナス・スキル&ジョブ不可)

【非有効化】豺ア豺オ縺ョ謇(荳牙・ウ逾槭?蜉帙↓繧医j豺ア豺オ縺ョ謇峨?髢九°繧後k縲よキア豺オ縺九i縺ッ繧「繧カ窶輔ユ繧」縺碁?吶>蜃コ縺ヲ荳也阜縺ッ邨らч縺励Κ繧ー?昴た繝医?繧ケ縺ョ蜷阪↓縺翫>縺ヲ荳也阜繧堤ケ九£貂。繧願?繧)


 実に興味深い。今まで幾百という数を見てきたが、異世界人で開発前から呪われているケースは初めてである。更にはすらある! こういうレアなケースにこそ長年の夢! 不老不死が眠っているかもしれない。文字通り期待に胸が躍っていた。そして奴の体感でもう何年経っているのじゃろうなと想像し加虐心が唆られた。つまらない待ち時間の良いスパイスだった。それにしてもなぜ奴はだったのじゃろうな?とふと疑問に思ったがすぐにどうでも良くなった。


 それは、届いたケーキと紅茶を味わっている最中のことだった。モニターに映し出されていた特記事項に揺らぎが発生したのだ。ん?と訝しみ凝視してみると突如変化が起きた。


※特記事項※

【解除不可】深淵の呪い(ステイタスオールマイナス・スキル&ジョブ不可)

【常時発動】荳牙・ウ逾槭?蟇オ諢(繧「繧ヲ繝ゥ繝九う繧ケ繝サ繧ェ繝?さ繧ウ繧ッ繝サ繝医ぇ繝シ繧オ縺ョ荳牙・ウ逾槭↓蟇オ諢帙&繧後※縺?k縲ゆク牙・ウ逾槭r鬘慕樟縺輔○菴ソ蠖ケ縺吶k縺薙→縺悟?譚・繧九?)

【非有効化】豺ア豺オ縺ョ謇(荳牙・ウ逾槭?蜉帙↓繧医j豺ア豺オ縺ョ謇峨?髢九°繧後k縲よキア豺オ縺九i縺ッ繧「繧カ窶輔ユ繧」縺碁?吶>蜃コ縺ヲ荳也阜縺ッ邨らч縺励Κ繧ー?昴た繝医?繧ケ縺ョ蜷阪↓縺翫>縺ヲ荳也阜繧堤ケ九£貂。繧願?繧)


 常時発動?内容は下と同じく読めないが、常時発動ということは現在進行形で何かしらが発動していることになる。モニターのスキル欄を素早くチェックする。が、変化はない。ふむ、ではなんじゃ?とモニターから目を逸らし直接開発部屋を覗いてみた。するとそこは真っ暗だった。いや、真っ暗というよりは黒。黒で埋め尽くされ何も視認することができない。なぜ気付かなかった?即座にあらゆる視覚系・精査系・解析系のスキルを用いても中にいるはずの異世界人どころか部屋の内部全てが視えなかった。直接中を覗こうかとも思ったが少しばかり危険が過ぎるか。そう躊躇っている時だった。それはいつの間にか、音もなく、そう、今までずっとそこにかのように姿を現した。薪の灰をドサっと被せられたように灰まみれで汚い布を巻いているしわがれた老女。それだけでも異質だが、更に不気味なのがその背に担いでいる大釜だった。それは何度も業火に曝され焼け爛れたようで何故だが穢らわしいと感じるモノだった。直感的にこれは敵だと判断したゴランセム卿は、モニター室からひとまず脱出し廊下に飛び出した。ドアを閉めそこから距離をとって様子を伺うと、ギギギィとゆっくりドアが開き老女がこちらを向きゆっくりと近づいてくる。

「この直線じゃ避けれまい。くらえ! 《全属性砲アルティメットカノン》!」色とりどりの極大光弾が老女に直撃! その後廊下の内装や壁面などを削りとりそのまま廊下端までぶつかり壁ごと吹き飛ばした。万物ありとあらゆる属性を全て内包した攻撃だ。煙で目視できないがこれで一先ずは安心だろうとモニター室に戻ろうとした。が、煙が晴れて見えた光景は信じられないものだった。何も変わらず老女がこちらへゆっくり歩みを進めていたのだ。どういう事だと後退りしたその時だった。老女が後退りした歩幅の倍はこちらに近づいた。驚き尻餅をついてしまう。更にその分の倍。逃げようとすれば倍の距離縮められるという事なのか?だがまだだ。

「図に乗るな! これならどうじゃ! 《多次元結界ディメンションシール》! これならば身動きできまい!」あらゆる次元からその空間全てを固定する究極の封印スキル。これで封印しておき、この老女とあの異世界人との因果関係やスキルの発生有無を確認しよう。そう立ち上がろうとした。が、できなかった。なぜなら老女は何もなかったかのように固定されている空間からスーっと音もなく抜け出しこちらにゆっくり近づいてくるのである。ヒィッ! と情けない悲鳴を上げながら壁をまさぐり屋敷の防衛装置を起動させる。廊下が高速でせり上がり天井にプレスされる。これならばと思ったが、押し潰されているはずなのに、それなのに、そんな事はお構い無く、せり上がった床のから物理法則を無視し透過してこちらに近寄る。仕方がない。また《時間逆行タイムリープ》で最初からやり直そう。レアな異世界人なので勿体ないが背に腹は変えられない。

「ではの!『時間逆行タイムリープ」発動すれば時間が高速で巻き戻っていくのを意識だけ保ったまま目的の時点まで巻き戻ることができるスキル。これで脅威は去った。かに見えた。スキルは発動した。時間は遡った。だが、数秒にも満たない時間だけだった。なぜだ?意味が分からなかった。何度も何度も試したが、側面からがすり抜ける所でスキルが強制終了する。

「《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!《時間逆行タイムリープ》!」

 喉が干上がる。やがて精も根も尽き果て座ったまま後ずさる。その分倍ほど近づいてくる。悲鳴を上げる余裕も己の愚行を省みる気力もない。只々目の前にある圧倒的な恐怖から逃れたいがためだけに後ずさる。更に近づく。やがて、目の前に、眼前に、老婆が、来ていた。被っている灰が頭にかかるのを感じる。恐ろしくて目を瞑る。吐息が聞こえる。それがだんだん近く。やがて吐息が顔にかかる。目の前だ。もう顔を覗き込まれている。あぁ、駄目だ。見ては駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ! が、もう限界だった。ゆっくりと瞳を開けるとそこには……

「ぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」よく聞けば屋敷中からも様々な騒音や悲鳴が聞こえていた。でもそんな事はもはやどうでもよかった。何故ならもう、恐怖が、あれが、全てを……




 頬をペチペチされながら何か話しかけられている事に貝沼かいぬま 三四郎さんしろうはようやく気づいた。

「おーいって! 白いの! おーい! 生きてるのか?おーい! 返事をしろっての!」と何者かが頬を叩き安否を確認しているようだ。うっすら目を開けると男性が1人小汚い格好でこちらを覗き込んでいる。

「おー! 生きてたか白いの! こんなとこで何やってんだお前?」そういうと彼は辺りを見回す。つられて私も辺りを見回すと、そこは森の中の広大な広場だった。……そうだ! さっきまでいた屋敷は?あの悍ましい拷問はどうなったんだ?「どこだここ」と呟くとすかさず男性が「どこも何もお前さん……ここは領地外のスラム街近くにある何の変哲もないただの森だよ。俺は木の実やきのこを探しててたまたまここを立ち寄ったんだけどよ?そしたら誰かが倒れてて慌てて駆けつけてみりゃこの有様よ。あんたこそこんなとこで何やってんだい白いの」先ほどからとしつこく言われるなと気になりだしたので「えっと、ちょっと訳がわからない状態なんですが、その、ってなんなんです?」ととりあえず質問を投げかけてみた。混乱している状況なので1つでも疑問点は拭っておきたい。

「何って……まぁあんた髪が真っ白だったからな。そんな見た目だったからそう呼んでいただけだよ。深い意味はないさ。お互い名前も知らん訳だし」髪が白い?私は髪を白く染めた覚えなどないし全部白髪になるほど年老いてはいない。あのゴランセムと名乗る老人も言っていたが、体の実質的時間経過は通常通りなので、体は自体は年老いている訳もなく黒い髪のままなはずだ。何を言ってるんだと、手で髪を鷲掴みギュッと引っ張る。複数本髪が抜けたので、どこが白髪なんですかと目の前に差し出すと、そこには真っ白な髪の毛があった。

「……は?」一間あき疑問が口から飛び出すが差し出された方は「何やってんだお前?」と呆れている。


 一先ず身辺整理というか状況確認をしよう。今いる場所は確か……領地外のスラム街近くにある森だったか。どうやってあの屋敷から逃れることが出来たのか分からないが、とにかく助かった。だが追手が来るとも限らない。あの老人、確か名前をなんちゃらゴランセムと名乗っていた。あとはそう! 十貴族というワードだ。第10位とも言っていた。あいつからは距離を置かなければならない。なので「十貴族のゴランセムという貴族の領地は方向的にどっちか分かりますか?」と呆けている男性に聞く。するとこれまた呆れた顔をされこんな事を言われた。

「十貴族?なんだそれ?この国にはってのはいるが……それにゴランセムなんてのは貴族におらんぞ?あんた本当に大丈夫か?」呆れ顔から心配顔になっている。どうやら嘘をついている訳ではなさそうだった。あの老人がホラを吹いていたのか?いや、それにしては屋敷やあの街並みは立派すぎる。領地と貴族であることは間違いない。国が違うのだろうか。それについて聞いてみても「俺は学がある訳じゃないから全部知ってる訳じゃないが……位制くらいせいの貴族様を擁している国はうちくらいのもんだったはずだぞ?九貴族制自体が珍しい方なんじゃないか?詳しくは分からんが」情報の信憑制は定かではないが嘘をついているとは到底思えない。一体どういうことだ。さっきまでのは全て夢や幻?いやいやあんな生々しく思い出しただけでも発狂し嘔吐してしまうような苦痛の伴う夢があってたまるか。だとしたら一体……。途方に暮れていると男性が「よく分からんが、まぁ近くの領地の……そうだな、第9位貴族様のピーアース領に連れて行ってやろうか?」と提案してくる。あそこなら難民の受け入れも比較的スムーズだからいいんじゃないか?とのこと。とりあえずあの老人の屋敷や領地でなければなんでもいいか。貝沼かいぬまは疑問ばかりが残るまま、親切な男性の提案に乗ることにして歩き出した。


「それにしてもなんであんたずぶ濡れなんだ?」そこは気にしないで欲しいので無視した。

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