しつこいと失敗する話し

@rain-rain

第1話

願う男side

今日は俺の同僚の女性社員の結婚式


式の後は披露宴があり、俺はそれに出席をする

この日のために、今日の主役である女性社員には何度もあるお願いをしておいた

そのお礼を兼ねて御祝儀は多目に包んでおいた


いざ、披露宴へ…





主役の女side

6月 ジューンブライド


日本は梅雨だが、日頃の行いが良いのか今日は晴天に恵まれた


今日は結婚式、その後に披露宴が行われる

同僚の男性社員には、結婚の話をしてから顔を合わせる度にしつこくあるお願いをされていたがそれも今日で終わる


ヤツの願いを叶えてやるのだ


この行いが梅雨の晴れ間を呼び込んだのだろう




そして式は恙無く執り行われ披露宴へ…




願う男side

俺は披露宴会場の自分の招待席に座りその時を今か今かと待ち構えていた

時間にすれば数分の事だが、俺にしてみれば何時間にも感じるモノだった




そして時は訪れる


俺はその瞬間、今日の主役の女性に感謝を捧げた…


ハズだった




ハズだったのだが、一瞬で絶望に落とされた


気が付けば披露宴は終わり、流されるまま家に辿り着いていた…



主役の女side

今日の披露宴は朝から天気も良く、同僚のお願いも叶えてあげられまさに幸せな一日だった

明日からは新婚旅行で数日会社を休むが、お土産も買って帰るし幸せのお裾分けは充分してあるので問題は無いだろう


旅行、満喫するぞ





願う男side

やっとだ、やっとアイツが会社に出社する…


披露宴の後に新婚旅行へ行き、帰って来るまでのここ数日…

連絡は取ることが出来なかったが、今日こそはアイツに会って話をすることができる…



ふっふっふっふっ…


俺のお願い叶えて貰えなかった怒りをぶつけられる!!!





主役の女side

久々の職場、旅行のお土産を持って気持ちも新たに出社する

だが、何だか様子がおかしい妙な雰囲気なのだ


いつも通りなのだか、妙に暗い場所がある



願う男side

キター!!!


俺はあの女を見た瞬間、周りの目も気にせずダッシュで駆け寄り問い詰めた


「披露宴の席順、美人の隣に座らせろって言っただろうがー!」




「はぁ~ お願いされたから美人の隣に座らせたじゃん」




「あー美人だったよ 今まで見た中でスッゴク綺麗だったよ」




「じゃあ何も不満はなかったでしょ」




「不満なら大有りだ」




「どこが?」




「…てた」




「え?」




「…してた!」




「は?」




「だから、指環してた!」




「あぁ」




「左、薬指、に、結婚、指環、し・て・た!」




「うん、既婚者だから、彼女」




「俺は、独身の美人女性の隣に座りたかったんだよ。その為にお前に美人の隣に座らせろと頼んだんだぞ」




「そういう事だったんだ…


あまりにも美人、美人って五月蝿いからもう美人なら誰でも良いかなって思った


それに、独身って言われなかったし」




「察しろ、考えろ、普通に考えて分かるだろう!

結婚式といえば出会いの場だろう!」




「五月蝿い(怒)


私が結婚するって話を聞きつけてから式までの間に、顔を合わせる度に美人の隣に座らせろ、美人の隣に座らせろって。此方は準備やら何やらで大変なのに、あんたの希望通りに美人の隣に座らせてあげたのに感謝される謂れは有っても、批難される謂れは無い。

第一、美人はたいてい売れている人が多いから、残っている人は居ないわよ」




「………………」




この瞬間、俺は何も言えなくなった




俺が悪いの…か?

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