転生したら薬物中毒のホストになっていた件(1)
僕は水無月トニー。
どこにでもいる、平凡な高校生だ。
中肉中背、見た目はクラスの女子がつけたランキングで20人中11位、成績は中の下、運動は出来ない……というよりしたくない。
趣味と言える程のものもなく、NETFLIXでアニメを見ては、毒にも薬にもならない感想をフォロワー2人のTwitterで垂れ流すのが唯一の日課、そんなつまらない人間だ。
だがある日、僕はひょんなことから死んでしまう。
もやしっこの僕は、電車の中ではしゃいでいるヤンキーに突き飛ばされ、乗車していた女子高生のおっぱいを思い切り揉んでしまったのだ。
「イヤアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
僕がおっぱいを揉んでしまった、サッカーとスケボーがめちゃくちゃ上手い高校生探偵らしき雰囲気の男と一緒にいたその女の子の、正中線四連突きからの上段回し蹴りで、僕は死んだ。
今にして思えば、あの「イヤアアアアアアアアアアアアアッッ!!」も、悲鳴じゃなくて空手の掛け声だったのだろう。
かくして、肉体とお別れをした僕の魂は、そのまま天へと昇っていこうとしたのだが、ふと透き通った声に呼び止められた。
『待つのです』
――だ、だれ?
『あなたたち人間が女神と呼ぶものです』
――か、神様だってえー!?
『今からあなたを転生させてあげましょう』
――え、な、なんでですか?
『転生させるのに理由なんかありません。転生の理由とか背景とか、そういうのをぐだぐだ書いても流行らないのです。とにかく第一話でさっさと、転生してチート能力手に入れて、巨乳の幼馴染か金髪ロリかツンデレお嬢かブラコン妹を出しとくのが重要なのです』
――では巨乳で金髪のツンデレ妹でお願いします。
『お前みたいに何の取り柄も無い人間が、一丁前に欲だけ出すんじゃねえカス』
――神こえぇーっ!!
『それにあなたの転生先は、もう決まっています。六本木のホストです』
――え?
『ほんとはこれ、「教師の俺が悪役令嬢の兄に転生したから、人から好かれる子どもになるように育てたら、とんでもないブラコンになったんだが?」ってタイトルになる予定だったのですが、なんか手違いで」
――そっちが良いよおおおお!変えて変えて!
「ということで、あなたは二十歳のホストの肉体に入ってもらいます。源氏名は”
――ぜ、絶対に嫌だ!!
『安心なさい。源氏名は自分で変えることが出来ますよ。最も、店の許可が必要ですし、馴染みの客からの反発も予想されるので、自由にというわけにはいきませんが』
――そういう問題じゃ……。
『それからあなたが働くことになる店は永久指名無しにしてるから、本指名取ったとしても油断しないこと。その代わり鬼枕も見逃してくれるから。それにしても最近増えてきたわね、こういう店。私はどうかと思うけど。マナーのなってない小娘たちが、相席居酒屋と同じノリで騒いでるの見ると引くし、そういうのって結局、店の品位を落として、長期的に見たらデメリットだと思うのよね。実際、よく売掛けでもトラブってるし』
――いやほとんど用語が分からん。っていうか好きなんですか、ホストクラブ?
『ええいっ!そんなことどうでもいいのよ!転生するまでのエピソードは必要無いっつったでしょ!時代に迎合してさっさと転生しろっ!』
――う、うわあああああっ!!
かくして、僕は”
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