12話 魔王8人衆


 次の都市---エミルークに向かい始めた。前回みたいに何かしらのクエストを受けていくわけじゃないため自分たちのペースで進めている。




 午前中歩いて休憩を挟んだ。




「ルビア大丈夫?」




「うん...」




 ルビア以外のみんなは冒険をしたことがあるためそれほど疲れが見えるわけじゃないがルビアは違う。今回の旅が初めてのため顔を見るだけで疲れが出ていることが分かる。それに加えて歩くペースとかも遅くなってきている。




(このままだと予定していたところまでいけない。でもしょうがないか...)




 今日中に枯れ果てた草原を抜けたかった。夜になったらそれこそ今以上に強いモンスターが出てくる可能性がある。だからこの場所を抜けることが今日の目標だった。でも仲間の安全が第一優先。はっきり言って俺たちで勝てない相手なんてそこまでいないと思う。




 そう思いつつ休憩を挟んで前に進む。ペースを落としつつラウンドを使って敵がいない最短経路で歩く。それでもやはり今日中に枯れ果てた草原を抜けることができなかった。




「今日はここで休もうか」




「うん」




「わかったわ」




「あぁ」




 泊るために火をつけて、2つのテントを張った。




 前野営をした時はノエルの指示通りにしていた。でもノエルにこの前言われた通り、いろんな未来を聞くとそれは俺の人生ではなくてノエルの人生になってしまう。




「俺とエルミナで最初は見張りをする。その後ノアとルビアで頼む」




「あぁ」




 一応は円ラウンドをかけておくか...。俺の魔力も無限じゃない。だからあまり夜とかはかけたくはないがしょうがない。




「ねえクリス」




「ん?」




「クリスはあの幼馴染のことどう思っているの?」




 なんでそんなことを聞く? エルミナには関係ないだろ?




「さあ。別にエルミナに関係なくないか?」




「そうね。でも仲間のことを少しでも知りたいと思うのは普通じゃない?」




「...。まあそうだな。今は別に何とも思ってないよ。あの時は狂いそうなほどキレてたよ。でもあの時突き放されていなかったら今みんなと会えてなかったし、良かったとも思ってる。だから何とも思ってないかな」




「そっか。ちなみに私は嫌いよ」




「...。なんで?」




「クリスのことをバカにしたからよ。私はクリスのことを最初から認めている。だからクリスをバカにしたことがね...。それに普通幼馴染が幼馴染の事を他人にむかってバカにする? その気持ちが分からないわ」




「ありがとう。でも幼馴染だから俺はあいつのことを嫌いにはなれないよ。だってあいつがいたから冒険者になろうと思えたんだから」




「うん」




 そう。俺はアメリアのことが嫌いにはなれない。子供の頃はアメリアしか友達と言える友達はいなかった。そしてアメリアのおかげで冒険者になりたいと思えた。今の職業に決まって、アメリアには突き放されたけどその選択が間違っていたとは思わない。もし同じパーティに入ったとしても、足手まといの幼馴染がいたらパーティがいたら雰囲気が悪くなるしさ。今はそれなりに実力がついてきたし、仲間ができたからそんなことを考えられるけど。




 エルミナに言われて考えていたら円ラウンドが察知する。




「エルミナ。みんなを起こして。敵が来る」




「わかったわ」




(索敵できただけ数十体...。それに加えて1体だけやばい奴がいる...)




 枯れ果てた草原はあたり一帯が見えるぐらい障害物がない。だけど暗闇の中だからはっきりとした距離がわからない。でも土煙が視野に少しはいるぐらいの距離にいる...。それにこの距離でもわかる。あのまがまがしい敵...。




 後10分程度で奴らが来るだろう。夜だから逃げることもできない。




「みんな起こしてきたわよ。どんな敵が来るの?」




「わからない。だけど多分アンデットの群れだと思う。それに加えて1体だけやばい敵がいる...」




「そっか...」




 みんなが起きたことを確認して戦うフォーメーションを決める。俺とノアが前衛。エルミナが中衛でルビアが後衛。夜のため前後を見るエルミナは負担が大きくなってしまうため、後衛の援護に集中してもらう。




 そして俺たちが視野に入る距離に敵がやってくる。思っていた通り数十体ほどのアンデットの群れ。




 俺とノアでアンデット数を減らしているが一向に減っている気がしない。暗闇のせいもあるが、それ以上に数が多い。それに奥の方からまがまがしい魔力を感じる。




 するとルビアが近くに寄ってきた。




「ルビア後ろに下がって!」




「大丈夫! アンデットなら!」




 そう言うとヒールを使い次々と敵を退治していく。するとやっと敵の大将が見えてきた。女の人に見えるほど人間らしかった。俺がそう思っている瞬間そいつがエルミナに向かってまがまがしい魔法を撃ってきた。




(あの魔法はやばい...)




 そう思った時、体が勝手に動いてエルミナをかばってその魔法を受ける。




「あらあら。あなたが受けちゃったの? まあいいわ。あなたのことをマーキングしたわ。早く私のところに来なくちゃ死んじゃうわよ?」




「ど..う..い..う」




「そんなの簡単よ。あなたに呪いをかけたの。それもとっても強力なものをね。でも探す時間で死んでもらっても困るし~。あ、自己紹介しましょう。私は魔族8人衆のワクルーイ。ここまで教えたら来れるよね? 頑張って」






 そう言ってこの場から離れた。それと同時に呪いの痛みで意識を失った。






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