13話 呪い


 テントの中で目を覚ますと日が差していた。すると看病をしてくれていたエルミナが言う。




「クリス! クリス大丈夫?」




「うん...」




 起き上がろうとすると激痛が走る。




「待ってて。ルビア呼んでくる!」




「...」




 意識を取り戻してすぐのためあまり覚えていないが、俺に呪いをかけた敵は確か...ワルクーイって言ってたよな...。魔族8人衆...。そんな奴に呪いをかけられてしまった。俺は今後どうなるんだ?




 考えていると全員がテントに入って来る。




「クリスさんヒールを使ってみますね」




「頼む」




 今の俺じゃエクストラヒールを使うことすらできない。ルビアが俺にヒールを使ってくれたがあまり症状に変化はない。まあそうだよな...。ヒールぐらいで治る呪いを使ってくるわけがない。




「俺がクリスを運ぶから早くエミルークに行こう。そこなら治る可能性があるかもしれない」




「うん」




「そうね...」




「悪い」




「いいって」




 今の状態だと歩くことすらできない。後少し時間が経てば預言が使える。そこでノエルに聞いてみよう...。




 少し時間が経ったため預言を使う。




{やばそうだから簡潔に言うわね。今のクリスにかけられている呪いを治す方法はあるわ}




{うん}




{でもその呪いにかかると2週間で死ぬから}




{え?}




{それでd}




 ノエルがそう言おうとしているところで激痛が走ったため、預言をやめてしまう。多分もう預言を使うことはできない。もう一度預言を使ってしまったら意識が飛ぶ気がした。









 ノアのおかげもあって2日でエミルークに着くことができた。すぐさま教会に行き神父に見てもらう。




「この呪いは私たちじゃ治すことができません」




「じゃあどうやれば治るのですか!」




 エルミナが怒鳴りながら言う。




「聖女様なら治せると思います。でもどこに聖女様がいるのか...」




「聖女ね。わかったわ」




 エルミナがそう言って教会から出た。




「クリスは宿で休んでて。3人で聖女の情報を集めるわ。だからもう少しだけ頑張って」




「あぁ」




 今にも泣きそうな顔をしながら俺に言う。そしてエルミナたちが聖女を探し始めた。最初の方は聖女を探していた。だけどもっと効率のいい方法がないか考えて聖女探しではなく勇者探しに変更した。勇者を見つければ自動的に聖女---アメリアを見つけることができる。




 探し始めて3日立ってやっと情報を入手したらしい。隣の都市---アデレーンに勇者とアメリアはいるらしい。アデレーンまで3日はかかる。すぐさまエルミナが馬車の人に頼み、アデレーンに向かうことにした。




(ここ最近エルミナは元気がない...。俺がこんな姿になったからか?)




「エルミナ大丈夫?」




「大丈夫よ。それよりもクリスの方こそ大丈夫?」




「俺は何とかなってる。毎日毎日つらそうにしているからさ」




「大丈夫。だからクリスは何も心配しないで」




「うん...」




 そう言うならいいけどさ...。エルミナだけじゃない。ルビアもノアも毎日が辛そうだった。でも二人よりもエルミナの方が辛そうであった。それにエルミナは目に隈はできているしここ最近休憩をしていないんじゃないかって思うほど疲れ切っていた。




 あっという間に3日が過ぎた。はっきり言ってもう動く力すらでない。アデレーン内にある宿にもノアに抱えてもらいながら部屋まで入れてもらった。




「じゃあ私とノアで探すからルビアは看病していて!」




「うん」




 そう言うとエルミナとノアが部屋から出ていった。




「なあルビア。エルミナは大丈夫か?」




「え? なんでですか?」




「今のエルミナは無茶している感じがするから...」




「そうですね。私から見ても無茶しているようにしか見えません。でもそれはエルミナさんが決めたことなので私が口出しできるわけではないので」




「そっか。ルビアも気をつけろよ」




「はい...」




 俺がルビアに言うとルビアも泣きそうな顔をしていた。




(そんな俺は死にそうに見えるか?)




 でもそうだよな。話すこともやっとで歩くこともできない。そんな状況だと死にそうに見えるか...。




 1日待つとエルミナとノアが部屋に入って来て俺に言う。




「聖女を見つけたわ。もう部屋の前にいるから入れるわね」




「え?」

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