8話 エルミナ視点1
クリス以外にもパーティメンバーが増えたことは嬉しい! 特にルビアが入ってくれて女の子同士で話せるのがいい。クリスがパーティ申請を行ってくれていると受付嬢から何やら言われていた。
底辺職業だからパーティを抜けてください?
(クリスを知らないのになんでそんなに簡単に底辺職業とか言えるの? このメンバーの中で一番強いのに...)
クリスにパーティを抜けるか聞いてみる。抜けるって言ったらどうしよう? そんなことは無いと思っているけど、可能性がないわけじゃない...。クリスが抜けたらこのパーティはどうなるの?
(クリスがいないパーティなんて嫌だよ...)
「いや、抜けないよ。それに抜ける時は言ってくださいって受付嬢に言われただけだからさ。ただ単に心配されていただけだよ」
よかった。でもなんで受付嬢はそんなこと言うのだろうか? クリスが底辺職業だから? クリスの実力を知ってから言ってほしい。はっきり言ってクリスは異常。力に関しては異常だけどそれ以上に人に対しての優しさを持っている。そんなところが好き。
パーティは実力で決めるものじゃないと思っていた。だけどノアの意見で少し考え方が変わった。
(そうだよね...。足手まといになったらパーティに居づらくなるのは当たり前...)
言わずもがなクリスは強い。それに加えてノアもクリスと同等ぐらいに強い。じゃあ私は? 私はクリスやノアみたいに強いの? ルビアはまだ入ったばかりだからしょうがない。でも私は違う。もう2ヶ月ほどクリスとパーティを組んでいるしそろそろ実力を見せていかなくちゃいけないんじゃない?
そしてこのパーティになって初めてのクエスト。ルビアの実力を確かめるのと、どれぐらい連携ができるかを見るのが目的ってクリスが言っていた。
まず最初はノアがルビアが戦う。ほんの一瞬でゴブリンが倒される。
(やっぱり実力が違う...)
そして私の番。ルビアがエリア強化を使ってくれているので、私も竜巻を使う。
(え? いつもより威力が強くない? エリア強化もこんなに強いの?)
いつもの威力の1.5倍近くは出ている感覚だった。やっぱりルビアも普通の実力じゃないってことなのね...。私だって普通以上だとは思っている。だけどみんな私が思えるほど異常な力を持っている。クリスは言わずもがなだけどノアは剣術、ルビアは強化魔法で飛びぬけている。じゃあ私は? それなりにオールラウンドに魔法が使えるけど突出して何か強いわけじゃない。
☆
なんやかんやでみんなEランクになったことでお祝いをした。私はあまり記憶がない。お酒には強い方だと思っていた。だけど昨日の記憶がなくなるほど飲んでしまうとは...。
(クリスに変な事言ってないよね?)
ギルドに着くといつも通りクリスが慰めてくれた。クリスが慰めてくれるところが居心地がいいって感じられる瞬間だなって実感する。
クリスがクエストの受注をしてくれている時、変な男性が話しかけてきた。クリスじゃなくて俺とパーティを組めって? 何あほな事言っているのかしら? クリスのことを底辺職業底辺職業っていうけどクリスのこと知らないでしょ? でも私たちが何を言っても身内びいきになってしまう。だから一つ案を考えた。
(この男のパターンだとクリスに決闘を仕掛ける!)
それをうまく利用しよう。これでクリスの実力がみんなにわかってもらえたら...。みんなにもそう言うと全員納得してくれた。クリスも条件を出して決闘を受けていた。でもなんで魔導書で受けるの? クリスなら魔法普通に覚えられるじゃない? なんで...。
それからクリスが圧勝してしまって少し申し訳ない事をしたなって思ってしまった。まあスッキリしたけどこの人にかまっていた私たちも悪いと思う...。
魔導書をルビアにあげていた...。私は平然に答えたけどなんで私じゃないのって思った。私の方が付き合いは長いし私でもいいんじゃないって思ってしまう。でも理由を聞いて納得はした。
納得はしたけどモヤモヤした気持ちが収まらなかった...。
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