10話 Cランク昇格試験


 Cランク試験は2つの試験方法がある。1つ目は1対1で受ける試験方法で2つ目はパーティ全体で受ける試験方法。




 1つ目の方法は個々の力を見るパターンなため、ソロで冒険者をやっている人が多い。ノアがこのパターンである。それに比べて2つ目の方法は個々の力も見るがパーティの連携なども見る。そのため2つ目の方が合格基準が低く受かりやすいとされている。




1つ目で受けてもいいが、今はエルミナとルビアが同時に試験を受けるしパーティ全体で受ける試験にしようかな...。




「みんなはどっちの試験を受けたい?」




「私はどちらでもいいわよ」




「私はパーティ全体で受ける方がいいです」




「じゃあパーティ全体で受ける方にしようか。俺もそっちにしようかなって思っていたんだよ」




「本当ですか! ありがとうございます!」




 ルビアの希望もあったことだしパーティ全体で受ける方に決めた。まあルビアが希望しなくても一応はパーティ全体で受ける方にしないか相談しようと思っていたし。




「それならどうやって戦うの?」




「そうだね...。俺が前衛でエルミナが中衛、ルビアが後衛って感じでいいんじゃないかな?」




「わかったわ」




「はい」




 本当は俺が中衛を行いたかった。前衛もできるが、魔法も使えて剣術も使える俺にとっては前衛と後衛どちらもサポートできる中衛があっていると思っていた。でも今回前衛をできる人がいない。いつもならノアが前衛で俺とエルミナで中衛、ルビアが後衛のフォーメーション。




(少し不安だけど何とかなるだろう...)




 試験方法が決まったため、試験官に受ける方式を言いに行く。




「パーティ全体で受ける試験方式でお願いします」




「わかった。じゃあ早速だけど決闘場に入ってもらえる?」




「はい」




 試験官に言われるがままみんなで決闘場に入る。 観客席にはノアがいる。




「じゃあ試験内容を説明するよ。Cランク冒険者2人とBランク冒険者1人と戦ってもらう。その戦い方で合否を決める」




「「はい」」




「わかったわ」




「負けたからって落ちるわけじゃないし頑張って」




 試験官にそう言われて戦闘態勢に入る。試験を手伝ってくれる冒険者の方たちも準備が整ったところで試験官が合図をする。




「試験開始」




 その合図と同時に俺はつい最近覚えた威圧をする。すると前衛にいた人が震え始めた。




「え? なんだこれ...」




 威圧はBランク冒険者にもある程度有効ってことだな。でも威圧だけで勝てるわけじゃない。そう思っていたところでルビアがエリア強化を使う。範囲がギリギリ俺が入っているラインまでのため、火玉ファイヤーボールを撃つ。Bランク冒険者がギリギリのところでよけたが、いつも以上の威力が出ていたため驚いた。よけた瞬間をエルミナは逃さずに竜巻を使い応戦する。そこに相手の中衛職がエルミナに攻撃魔法で攻撃してきた。それをレジストするためルビアが雷玉エレクトロボールを使い防ぐ。




 はっきり言って普通の後衛職の人は戦闘に参加することができない。後衛職とは味方のサポートに徹するため攻撃魔法とかを覚えていない。でもルビアは魔導書のおかげで攻撃魔法を覚えているためそこが有利であった。俺とエルミナでBランク冒険者に対して魔法で攻撃し続ける。するとやっとBランク冒険者が前にやってきて俺と1対1で戦う。




 俺は一歩下がりつつすぐ身体強化を使い剣を交える。後方に下がったためエリア強化範囲。エリア強化と身体強化を重ね掛けになっているため相手の攻撃が遅く見える。すぐさま高速ウィップを使い後ろをとったところで斬りかかり戦闘不能にする。




 そこで均衡が崩れた。エルミナが竜巻、ルビアが雷玉エレクトロボールを撃ち中衛職の行動を制限して俺が気絶させる。




「降参するわ...」




 後衛職の人が降参を言ってくれたので試合が終わった。




「ここまで強いとはね...。ティー様が推薦するわけだ...。おめでとう。今日からCランクだよ」




「ありがとうございます」




「やった!」




「やりましたね!」




 これでCランク...。これである程度高難易度のクエストも受けられる。受付嬢にCランクの手続きをしてもらいギルドを出る。




(そう言えば師匠はいないな...。報告したかったけど次会った時でいっか)




「これでみんなCランクですね!」




「ね!」




「やっとだよ。Cランクになったんだからこれからの方針を決めなくちゃだな」




「そうだね」




 これからの方針...。




「オージラを出ようと思う」




「え?」




 俺がそう言うとルビアが真っ先にそう言った。

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