2話 ルビアの実力

 まずは全員の実力を知る必要がある。全員の実力を知らなくちゃ戦略を立てることすらできない。エルミナは今までも戦っていたからなんとなくわかる。ノアも闘技大会で戦ったためわかる。だけどルビアだけはまだ未知数だ。




(ギルドで話していたけど、ルビアがみんなと実力が違いすぎたらどうしよう…)




 そう思いながら森につき、ゴブリン退治を始めようとする前にルビアに聞く。




「まず聞きたいけどルビアはどんな魔法が使えるの?」




「えっと。今はヒールとエリア強化、ライトの3つです」




「ヒールはわかるけど、エリア強化とライトって何?」




「エリア強化は私の半径20m以内にいる味方に攻撃力と防御力、魔法の威力をあげる魔法です。ライトは言葉の通り、撃った方向に光を当てることです」




 エリア強化は普通に強いな…。俺やノアが戦ってくれているところに使ってくれたら簡単に敵を倒せるだろう。そしてエリアが広くなればエルミナの攻撃魔法も強くなる。この魔法は本当に強いと思う。だけど弱点もあると思う。例えば戦う場所が狭いところ。バフを受ける味方の場所がなければエリア強化も意味がない。ライトに関しては使い方によってはって感じだ。




 そして一番の問題はルビアが敵に対しての攻撃魔法を持っていないってこと。もし一人で戦うことになったらどう戦うかを考えなくてはいけない。俺たちがずっと援護できるわけじゃない。今回戦う敵・・・アンデットに対してはヒールで倒すことができるだろう。だけどゴブリンやコボルトは? そう考えると何かしら自分か扱える武器が必要になる。俺やノアだったら剣、エルミナだったら弓だ。




「ルビアは何か使える武器とかある?」




「えーと…。特にないです…。ごめんなさい」




「謝らなくていいよ。そしたらみんなで考えていけばいいだけだからさ」




「そうそう!」




「あぁ。俺だって家の事情で剣を使えるようになったけど、そうじゃない人の方が多い。時間はあるのだからゆっくりみんなで考えていこう」




「うん。ありがとう!」




 ノアが言うことは説得力がある。はっきり言って幼少期から剣や弓を使っていたノアやエルミナが異常なだけ。そして俺も冒険者になると決めていたから剣の練習をしていた。だけど普通そんなパターンはあまりいない。




 そしてゴブリン退治を始める。まずエリア強化がどれぐらいか知りたかったため、ノアとルビアの2人で戦ってもらった。




 まあ案の定エリア強化を使ったノアがゴブリン相手にてこずるはずもない。10体程度いたのにものの1分で倒してしまった。




「「お疲れ様」」




「あぁ」




「はい!」




 何もしないでクエストが終わる感覚は新鮮だ。でもこういう場合も増えるだろう。それよりもエリア強化の方が聞きたい。




「それでエリア強化の方はどうだった?」




「感覚的には少し動きがしやすくなった程度かな。でもあるのとないのじゃ違う」




「そういってもらえると嬉しいです」




 少し動きやすくなった程度ってことは身体強化よりは影響力が低いってことか…。身体強化や高速ウィップは自分で感じられるほどの影響力があった。




「わかった。じゃあ次のコボルト退治はエルミナと2人でやってみてくれないかな?」




「わかりました」




「わかったわ」




 森の奥に進みコボルト退治を始める。ルビアがエリア強化を使い、エルミナが竜巻を起こす。すると思っていた以上に竜巻が大きくて、ここら辺一帯が壊滅する。




(え? オージラで見た時よりでかいぞ? じゃあエリア強化は魔法に特化しているってことなのか?)




「お疲れ様」




「うん。それよりもエリア強化ってやばくない? ノアから聞いていたかかっている程度じゃなかったわよ。威力はそこそこ上がっていたし普通にすごい魔法じゃない!」




「え? そう言ってもらえると嬉しい…」




「まあそうだったね。本人にかかる魔法はあまり効果をなさないけど。使用者以外が使う魔法は重ね掛けってことになるから強力になるんだろうね」




 でもそうするとルビアには魔法を覚えてもらいたい。そうすればより楽に敵を倒すことができる。でも魔法は覚えたからって覚えられるわけじゃない。一応他の方法もあるっちゃあるけどそれだとお金が高い…。




「まずルビアは魔力大丈夫?」




「大丈夫です」




 嘘は言っていないと思う。本当に魔力がなくなったら魔力欠乏になってしまい、顔が青くなる。




「じゃあ最後のアンデット退治だね。オージラに戻るまでには日没になっていると思うから、ルビアは俺と一緒に戦おうか」




「はい」




 そしてオージラに着くころには暗くなっていて、アンデットたちが現れ始めていた。




「じゃあ始めよっか」




「はい!」




 俺はあくまでルビアの護衛。今回はルビア一人で戦ってもらう。ヒールがある以上アンデットを倒すことはできる。それに今までの2戦で実践は積んでいるはずだから緊張はあまりしないはず。そう思っているとアンデットたちがルビアと俺に近寄ってくる。




「ヒール!」




 ルビアが使うとアンデット3体が一瞬で消滅した。




「…」




 ヒールってそんなに強かったっけ? 普通のヒーラーは2回アンデットに撃って倒すレベルだ。なのに今回は1回で3体…。実質的に6回分。




(もしかしてルビアってヒーラーの中でも最強の部類じゃないのか?)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る