3話 真意を突く一言
その後も10数体をルビア一人で倒してしまった。
「お、お疲れ様」
「お疲れ様です!」
「俺いらなかったね...」
「いえいえ。援護していただける安心感があったから思い切ってできたんです!」
「そっか...」
ルビアがこう言っているもののはっきり言って今回俺は何もやっていない。それにしてもなんでこんなに他の人とヒールの実力が違うんだ?
「ルビアやるじゃない!」
「ここまですごいなんてな」
「ありがとうございます」
「じゃあギルドに行って納品しようか」
俺がそう言ってみんなでギルドに戻る。そして受付嬢と話す。
「クリスさんお疲れ様です。大丈夫でしたか?」
「大丈夫ですよ。クエスト完了したので手続きお願いします」
すると受付嬢が一旦カウンターから離れてクエストが完了しているかを確認している。数分経ってカウンターに戻ってくる。
「はい。クエスト完了です。ルビアさんはこれでEランク昇格です。クリスさんはあと少しでDランクですね」
「ありがとうございます」
お礼を言って帰ろうとしたところでノアとエルミナが受付嬢に言う。
「いつもいつもクリスを心配してくれるのは助かります。ですがこのパーティはクリス中心で回っているのでそこまで心配しなくて大丈夫ですよ」
「そうそう。クリスがいなくなったら自動的にパーティが解散になるからそこは心配しなくていい」
「え? そうですか...。わかりました」
「それにクリスはこのパーティの中で一番強いので!」
「まて! それは聞き捨てならない。俺の方が強いかもしれないだろ!」
「ノアが強いのはわかっているわ。でも本気のクリスを見たことがないでしょ? だからそう言っているの。多分本気のクリスを見たらノアもそんなこと言えなくなるわ」
「フーン」
待て待て。受付嬢に変な心配をしなくていいって釘を刺してくれたまではよかった。だけどそれ以降の会話はいるか? はっきり言って俺がノアより強いかやって見なくちゃ分からないし、俺の本気をエルミナは見たことないだろ! アーサーさんの時は本気だったけどあれは実戦であって実戦じゃない。本当の実戦で本気を人前で見せたことはない。
エルミナとノアの会話も終わったことだしギルドを出る。
「まずはルビアEランク昇格おめでとう!」
「「おめでとう!」」
「ありがとうございます!」
ルビアがEランクに上がったことだしお祝いをしなくちゃだな。
「じゃあ今からご飯でも食べに行くか」
「だね!」
「おぅ」
「はい!」
みんなで小さな酒場に行く。酒は15歳から飲めるため俺も何度か飲んだことはあるが、はっきり言ってあまり飲まない。次の日に響く時があるしな。
俺はオレンジジュースでも頼もうと思っていたが、みんなエールを頼んでいたので俺もさすがに同じものを頼む。酒が来たところでエルミナが言う。
「じゃあルビアEランク昇格おめでと~。次はクリスと一緒にDランクになろうね~」
「はい!」
「Dランクなんて言わずに早くCランクにこい!」
「...」
あまりおいしくない。苦いしオレンジジュースの方がおいしい。
「クリスって酒飲めない系か?」
「まあ...ね」
「先に言えよ! 俺がそれもらってやる」
「いや、さすがに頼んだのは飲むよ」
「まあ無理そうなら言えよ」
「あぁ。助かる」
その後みんなで雑談をしつつエールを飲み切る。
(やっとなくなった。つらかった...)
お酒が弱いわけじゃない。でも好んで飲むほどじゃない。俺が飲み切った時にはエルミナとノアは3杯目、ルビアは2杯目に入っていた。
(なんでそこまでみんなお酒が好きなんだろう?)
その後もみんな酒を頼んでいて、エルミナが8杯目に入った途端、突然語りだした。
「私はクリスと会えて本当によかったと思ってる! あの時クリスに会えなかったら今は無かったし、感謝しかないよ」
「え? 俺もエルミナと会えてよかったと思ってるよ」
すると上目使いで俺に聞いてくる。
「どこら辺が?」
(一緒に冒険している時は思わないけど、こういう時のエルミナは本当にかわいいな...)
「まず俺があまり積極的に言えないことを言ってくれるところから。エルミナがルビアやノアを誘ってくれなかったら一緒のパーティになっていなかったと思う。俺は誘う勇気がないからね...」
「ふーん。このヘタレ!」
「う...」
そう言いつつもエルミナはニコニコとしていたので良かったと思う。まあヘタレって言われたことに対しては少し傷ついたけど...。まあわかっていたことだけどさ。
なんやかんや5時間ほど飲んでみんなでみんなで泊っている宿に帰りお開きにする。するとルビアが俺のところに来る。
「クリスさん。もしかしてエルミナさんのことが好きなのですか?」
え? 俺がエルミナのことを好き...?
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