10話 迷宮ダンジョンまでの道のり

 迷宮ダンジョンに向かうため、エルミナに一言いいに行く。




「今日から迷宮ダンジョンに行ってくる。1週間から2週間ぐらい会えないと思う」




「迷宮ダンジョンに行くのね。気を付けてよね! クリスがいなくなったら私嫌だから!」




「それは俺もだよ。そっちも気をつけろよ!」




「当り前よ」




「じゃあ行ってくる」




「行ってらっしゃい」




 エルミナとここまで気兼ねなく話せるようになるなんてな。仲間になれてよかった。あの時パーティを断っていたら今の暮らしは無いと思う。だから本当にエルミナには感謝している。




 迷宮ダンジョンに行くためには平原を半日歩いて森に入る。森を迷わずに行けば次の日の昼には着くだろう。




 俺は早速オージラを出て草原を歩き始める。モンスターと言うモンスターがあまりいない。草原にもゴブリンや蝶に似ているモンスター---チョウゲイぐらい。そう思っていたらチョウゲイと会ってしまう。数は3体。




 俺はまず身体強化を使い動きやすいようにして、火玉ファイヤーボールを使い一体のチョウゲイを怯ませる。その瞬間を逃さずに切りかかり倒す。その時、別の二体のチョウゲイが俺に魔法を使ってきた。麻痺の魔法、痺動ニール。動きが半減する。感覚的に普通の状態を100と考えたら身体強化状態が120。痺動ニールを使われたら普通状態なら50で身体強化状態なら70。




 身体強化が継続できる時間は現状10分程度。後7分ほどで今よりも動きがきつくなるってことだよな...。預言を使ったら楽に勝てるのだろうけど、そんなことをしたら俺の実力が上がらない。俺は火玉ファイヤーボールをチョウゲイの上下左右に撃ち行動を制限させて斬りかかり倒す。




「これで後1体。これなら使える」




 俺はチョウゲイが魔法を使う機会を窺う。数秒立ったところでチョウゲイが痹動ニールを使ったタイミングでコピーを使う。チョウゲイが使った痹動ニールを受けてしまったが、痹動ニールを習得することができた。




 痹動ニールは重ね掛けできるってことか...。感覚的に普通状態で2度かけられたら25ぐらいしか動けない。普通状態の4分の1ってことだ。そうなったら勝ち目が薄くなる。




 少し感心していたがやばい。身体強化の切れる時間も後2分ほど。チョウゲイに対して火玉ファイヤーボールを撃ち、行動を制限してから石化ロックを使い石にさせた。




「はー。やばかった」




 少しホッとしたところで身体強化が切れる。その時グッと体が重くなる。




(これが痹動ニールの力ってことか。本当にやばかったな)




 少しの休憩をはさんで歩き出す。その後はゴブリンと数回戦い、半日ほどたったところでやっと森が見えてきた。日も落ちてきたことだし森に入る前に野営の準備をする。




 火玉ファイヤーボールを使い木に火をつけて持ってきている食材で食事する。それにしてもやることがない。本当は野営を一人でしたら危ない。夜も眠れない。だけどそれに対しても案がある。預言の魔法を使い、ノエル様を呼ぶ。




{どの未来がみたいですか?}




{今日の危険度を知りたいです。何時にモンスターと会いますか?}




{今日はおよそ2時間後に1体のヒチュウと戦います。その後は安全です}




{ヒチュウとは?}




{空を飛んでいるモンスターで、索敵スキルを持っています}




{ありがとうございます}




 この情報があるだけで楽ができる。2時間ほどたつまで剣を磨いたり、夜空を見ていたりした。2時間がたったところで空からトンボのようなモンスターがこちらに向かってきた。




 一体なら大丈夫。俺はそう思いヒチュウにコピーを使うとラウンドのスキルを手に入れた。だが、この一時的無防備の状態をヒチュウは見逃さず、俺に体当たりしてきた。少し腕をかすったがよけきれた。




 その後はいつも通りの戦い方をして倒し始める。まず火玉ファイヤーボールで行動を制限する。飛んでいる敵だから難しいが、チョウゲイも飛んでいたため、うまく制限することができた。そして痹動ニールを使いヒチュウを地上に降ろす。そして身体強化を使い斬り倒す。




 なんやかんやここまで学んできた魔法を活用して戦えて来ている。だけど不安もある。もし火玉ファイヤーボールが効かない敵が出てきたら? もし剣で倒せない敵が出てきたら? そう思うと、もっとバリエーションを増やした方がいいと思った。




 ヒチュウも倒したことだから少し就寝して森に入る。昨夜得たラウンドを使い敵を索敵する。




(これはすごい!)




 敵がどこに何体いるかが分かる。だけど障害物が多いと数まではわからない。だからラウンドは平原などで有効だけど、ダンジョンとかならあまり使えないってことか...。




 それでもラウンドのおかげで敵とも会わずに迷宮ダンジョンに着くことができた。




(一旦休憩をはさんでダンジョンに入るか)




 俺はそう思い休憩をはさんでいると




「お前。一人で来たのか?」




 俺と同い歳ぐらいの男が話しかけてきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る