11話 迷宮ダンジョン攻略

「え? あ、そうですけど?」




「そっか。俺もなんだよ」




「...」




 いきなり話しかけてきたけど、何か俺に用事でもあるのか? 身なり的にこの人は貴族って感じだ。それなのに迷宮ダンジョンの入り口にいるってことは訳ありってことだよな?




「それでどうしましたか?」




「いや、特に用事は無いんだけど一人なのかなって思ってさ」




「はあ...」




「気をつけろよ? 俺は15層でやめたけどそこそこきつかったからさ」




「ご忠告ありがとうございます」




「いいって。じゃあ頑張れ」




「はい」




 なんだったんだろう? ただただ忠告をしてくれた優しい人だったってことか? まあ深く考えすぎてダンジョンで支障を起こすのはよくない。




(考えるのやめよ)




 あの男性と話してからさらに数十分程度の休憩をはさんで迷宮ダンジョンに入る。ノエル様に言われたのは1週間後。今3日目なので、今日明日で体を慣らして、明々後日から本格的に進んでいこう。




 初日は1階層の探索。1階層ではコボルトやスケルトンなど低級モンスターばかりがでて来ていた。そのため1階層の探索はあまりせず、2日目には2階層に行く。2階層になるとスケルトンの変異種とリッチが手を組んでいた。スケルトンの変異種は高速ウィップを使ってきたので厄介であった。いつも通り敵の行動を制限してリッチから先に倒す。そしてスケルトンの変異種と1体1になったら観察しながらコピーの魔法を使って高速ウィップを取得する。取得が終わって本格的に退治を始める。




 最初は火玉ファイヤーボールで行動を制限して身体強化と高速ウィップを使い切りかかる。スケルトン変異種をうまく倒すことはできたが、高速ウィップの使い方が難しい。一瞬でも気を緩めると壁に当たってしまうし、加減を間違えると敵にあたってしまう可能性もある。今までの魔法はそこまで苦労するのはなかったけど、高速ウィップは練習が必要そうだ。




 その後3階層に行く。特にきついモンスターがいるってわけじゃなかったため、すぐに4階層に行く。するとカメレオンとほとんど一緒の形をしているモンスターダークレオンがいた。




 はっきり言ってこいつがこのダンジョンの中で一番厄介だと考えていた。こいつは隠密を持っているため、背後からやられる可能性が高い。でも隠密を入手出来たら今後戦う際のバリエーションが増える。だから戦いたいとは思っていた。今回運よく正面にダークレオンがいたためコピーを使う準備をする。ダークレオンが隠密を使う。俺は凝視してダークレオンを見ている。それなのにどこにいるかわからなくなりそうだ。それでもこれで隠密は取得できた。




 隠密を使ったダークレオンが棘で攻撃してくる。棘の色は暗く、隠密とのコンビネーションがばっちりであった。俺は腕に数カ所棘が刺さる。刺さると同時に激痛が走る。バックにいれているポーションを飲もうとした時、また棘で攻撃してきた。これを受けたらさすがにやばい。このダンジョンでもう使う予定はなかったがしょうがないと思い高速ウィップを使ってよける。それと同時にラウンドを使い、ダークレオンの位置を把握して石化ロックを使いダークレオンを石にした。




(やばかった。ここまできついとは...)




 はっきり言ってなめていた。コピーでいろいろと魔法を覚えたし5階層まで楽勝だろうと考えていた。でもそんなことはなかった。一旦ダンジョンを出よう...。




 俺はダンジョンを出る。腕に薬草をつけた包帯を巻き安静にする。明日には治るはず。それよりも5階層はどんな敵がいるんだ? 俺は疑問に思い預言を使う。




{どの未来がみたいですか?}




{明日俺が5階層に行った時の状況が知りたいです}




{時間を指定してもらわなくちゃ分かりません}




{そうですよね}




{はい}




{ありがとうございました}




 まあそうだよな...。







 そしてミネルヴァ様と会う予定の日。俺は4階層まですぐに行き、4階層からはラウンドを活用した。壁越しから敵の位置を知ることはできないが、ダークレオンみたいに隠密の敵には天敵の魔法だ。この魔法1つで安心感が違う。まず奇襲を受ける心配がない。




 そして4階層を1時間ぐらい周回したところで5階層に入る。モンスターは4階層とあまり変わらないため楽であった。でもこの階層では隠しエリアにいるらしい。そこをまずは探さなくては...。




 隠しエリアを探して3時間ほどたった。疲れ始めた時階層ヌシ---ミノタウロスがこちらに来た。




(なんでいまなんだよ...。今じゃ勝てない)




 万全の状態なら勝てたかもしれない。でも今は数度の戦闘を重ねていたため、魔力と体力がなかった。そして危機的状況下だったため、預言を使うって考えに至らず、逃げる選択しかできなかった。




「なんで今なんだよ!」




 数分走ったところで行き止まりにあたる。やばい...。このままだと死ぬ。どうすればいい? どうすれば...。俺は隠密を使い気配を消す。ミノタウロスが俺の目の前にいる。隠密のおかげでまだバレていないが時間の問題だろう...。俺は壁を触りつつミノタウロスの横を通り抜けようとしたところで壁が抜けて下に落ちてしまう。




「え?」




 落ちた衝撃で意識を失う。




 どれぐらいの時間意識を失っていたのだろう。周りを見渡すと5メートルほどの女性像が美しく置かれていた。

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