第19話
「急に降ってきたな……」
「そうですね……、直ぐに止む気配もありませんし」
今は下校中、葉山と一緒に帰っていると、急に雨が降ってきた。近くにコンビニがあったため、そこまで濡れはしなかったが、どんどん雨脚は強くなってきている。急な雨ということもあり、傘は持っていない。
「うーん、どうしようか。俺の家までは近いけど、葉山の家はまだまだだからなー」
「いえ、私のことは気にしないでください!」
「いやそういうわけにもいかないだろ」
どうするか考えた結果。
「俺の家に一回寄らないか?葉山」
「えっ?!」
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「そうですよね私たちはまだそんな関係じゃないですし……」
「ん?どうした葉山?」
俺の提案通り、一度家に寄ることにした。多分母親がいるだろう。
俺は鍵を開け、母親を呼ぶと、
「んー?海、どうした、の?!その女の子?!」
「分かったから一回落ち着いてくれ」
ビックリしている母親を一度落ち着かせ、最初に葉山を風呂に入れ、着替えを渡した(何故か俺のパーカーを着ている)。流石に女子が使った残り湯を浴びる根性はなかったので、俺はシャワーだけにした。
俺も着替え終わり、リビングに行こうとすると、中から二人の会話が聞こえた。
「えーっと、お名前は?」
「あっ、海君のか、彼女の葉山 菫です。色々貸してもらって本当にありがとうございます」
「いや大丈夫よ、気にしないで。……って今彼女って言った?!」
「は、はい。海くんから何か聞いていませんか?」
「いやあの子学校の事とかなにも話さないから」
色々会話が盛り上がってしまって中々戻れない。どうしたものかと悩んでいると、
「……海、何してるの。早く入ってきなさい」
「……バレてるのかよ」
とっくにバレていたらしく、おとなしく入ることにする。
「さ、これはどういうことなのか説明してもらうからね」
「あ、あーちょっと風邪引いたかも。部屋に行っても良い?」
「じゃあ私と菫ちゃんで看てあげるわ、安心してちょうだい」
どこにも逃げ場が残っていない。八方塞がりとはこういうことを言うんだな。
俺は半分諦めかけ、これから行う説明を頭の中で整理することにした。
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「はー、そういうことね。それなら何で教えてくれないの」
「教えると連れてこいと言うと思ったからだよ。ていうか俺に彼女ができても信じないだろ」
「それはそうね」
「否定しないのかよ……」
一通り説明をして、何とか質問責めは乗りきった。質問されたことはいつから付き合っているかとか、どっちが告白したかと、大体予想していたことを聞かれた。
「まさか菫ちゃんが告白したとわねー。それが一番のビックリだわ」
「もうこれくらいで良いだろ。そろそろ暗くなってきたから、葉山を送ってくるよ」
「そうね」
玄関まで行き、靴を履いているといきなり母親が、
「菫ちゃん、ちょっと良い?」
「は、はい。大丈夫です」
何やら話があるのか、葉山を連れていった。長くかかると思っていたが、案外直ぐに帰ってきた。
「何の話をしたの?」
「ふふっ、内緒です!」
葉山の機嫌が良くなっていたが、特に気にすることもなく、俺は葉山を送っていくことにした。
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