第18話
「海君、最近触れ合いが少ないと思いませんか?」
「触れ合いって……」
今は昼休み。陽一と春風さんは数日間は二人きりにしてあげようと決めて、今は二人で昼飯を食べている。
食べ終わってしまい、少し休憩しているといきなり葉山がそう話し出した。
「いや、特に思わないけど」
「少ないと思いませんか?」
「お、思います……」
俺の返答に少し圧をかけてきた葉山。圧かけれる人始めて見た。
「といってもどうすれば良いのか分からないんだが」
「では、そこに座ってください」
葉山は椅子を三つほど並べ、その端に座れといってきた。
「これでいい?」
「はい。では失礼します」
「ん?なにを……ってそういうことか……」
俺が座るとすかさず膝枕をしてきた。冷静に振る舞っているようだが、髪の隙間から見える耳は真っ赤になっている。
「恥ずかしいなら無理しなければ良いのに……」
「う、うるさいです。……では頭を撫でてください」
「お、おう」
言われた通り頭を撫でる。相変わらずさらさらしていて、ずっと触っていられる感触だ。
「髪さらさらしてるな」
「こうやって触ってもらう時のために手入れしていますから」
「女子って大変だよな」
「そういう海君も髪さらさらですよね。何か使っているんですか」
「いや?家にあるシャンプーを使ってるだけ」
「……海君は女の敵ですね」
「何で?!」
「みんな苦労しているのに海君は特に手入れもせずそんなに綺麗な髪を持っているからです!」
「綺麗さで言えば葉山の方が綺麗だと思うけど……」
女性は本当に大変だと思う。髪の手入れだったり肌の管理だったり、見てて感心する。
「……平和だなー」
「そうですね、アキちゃんや澤井さんの事もありましたし、こうやって静かに暮らすのも久しぶりな気がします」
「さて、そろそろ良いで」
「駄目です」
「ええ……」
食い気味に言われてしまった。
「……最近本当に我慢してたんです。もう少しだけお願いします」
「じゃあ葉山。一回起きて」
「?分かりました」
「えいっ」
「きゃっ」
「だ、大丈夫?」
「は、はい」
一回葉山を起き上がらせ、今はハグをしている。決して邪な考えはないとここに記しておく。
「……何だか安心します。海君とハグすると」
「そう?俺はドキドキが止まらないんだけど」
「ふふ、それは私もです。ですけど、それよりも安心感と嬉しさが勝ってしまいます」
女子特有の良い匂いと、二つのお山がぎゅうぎゅう主張してきているせいで、俺の理性がぶっ飛びそう。
「なあ、二人とも」
「「?!」」
と、自分の理性と戦っていると、聞くとは思っていなかった声がした。
「よ、陽一。どうした?」
「いや、二人とも」
何故か言いづらそうにしている陽一。
「ここ、教室だからな?」
「!そ、そうだった」
「す、すっかり忘れていました」
そういえばここは教室だった。周りを見渡すと女子は黄色い歓声を、男子は嫉妬やら憎悪やらの目を向けている。
その後はハグも膝枕もせず教室にいたが、顔の火照りが収まることはなかった。
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