第154話 元リア充、買いに行く(前編)
※今回は、元リア充男子、佐久間浩二目線の話になります。
桂木と交渉して休日を設けてもらった。
邪竜を討伐しないと日本に戻れないのだろうが、連日訓練続きでは精神的に限界だ。
それに、これまで滞在していた訓練場は周囲に何も無い場所にあったが、今度は街の中にある。
せっかく異世界に来たのだから、少しは現地の様子も見てみたいと思うのは当然だろう。
外出に関しては、桂木は渋い表情を浮かべていたが、事前に元ヤンキーグループの連中も抱き込んでおいたのが功を奏して、どうにか認められた。
街歩きのための軍資金も、討伐したワイバーンの素材が売れるらしいので、駐屯地の方から引き出せたようだ。
通貨の種類、一般的な貨幣価値、それと入り込むとヤバい地域などを教えられて、ようやく俺達は駐屯地の外へ自由に踏み出すことが出来た。
手持ちの金は、ここワイザールで成人男性が一日に稼ぐ平均的な金額で、日本の感覚だと一万円程度のようだ。
ワイバーンの素材は、俺達全員に配った金の十倍以上になるらしいが、一度に渡すとトラブルの原因になりかねないので桂木が管理するらしい。
正直、不満が無い訳ではないが、ワイバーンを討伐できたのは殆ど桂木のおかげだし、まずは金を持っての外出を勝ち取る方が先決だ。
実際に外出すれば、手持ちの金では買えない物もあるだろうし、その辺りを元ヤングループから突いてもらえば、桂木も妥協せざるを得なくなるだろう。
「とりあえず、街を見て歩こうぜ」
俺と一緒に外出するのは、元々同じグループに居た木島と村上の二人だ。
元ヤングループは、徳田を中心として日本に居た頃と同じノリなので、ちょっと俺達とは合わないのだ。
というか、ぶっちゃけると性生活の格差が原因だ。
初めての実戦訓練が散々な結果となった俺たちは、頼み込んで桂木たちのグループに合流させてもらったが、魔法の威力に格段の差がついていた。
桂木は別格としても、男子どころか女子と比べても歴然とした差があった。
まぁ、元々魔法の威力に関しては性別による格差は無いようなので、単純に訓練の量が足りていないだけだ。
桂木たちのグループは、女子が自主的に男子の性欲処理を行っているのだが、合流した俺たちは魔法の威力が追い付くまでは、お預けになってしまった。
行為はお預けだが、見るだけは自由。
当然我慢しきれず、見せつけられながら自分で自分の欲望を処理するしかなかった。
魔法の威力は、最初に比べれば上がっているが、それでも元ヤングループと比べるとまだ劣っている。
そのため、未だにお預けが続いていて、元ヤングループの連中は見せつけるのを楽しんでいるように見えるのだ。
俺も健康な高校生だから、日本に居た頃にもネットでエロ動画を漁って自慰行為をしていた。
だが、見るだけという状況は同じでも、普段から見知っている女子が同級生の男子と手の届く距離で行為をしているのを見るのは別物だ。
それなら見なければ良いと思うかもしれないが、見れるものは見たいと思うのがサガというものだ。
実際、想像を巡らせながらするのと、実物を見ながらするのでは、興奮の度合いも違う。
ただ、こんな生活が長く続いていると、寝取られ性癖に目覚めてしまうのではないかと不安になるのも確かだ。
村上も俺と同じように見物しながら自分で慰める生活を続けているし、木島はあまり参加していないが、俺よりもヤバい感情を秘めていそうだ。
実戦訓練でリーダーを務めていた宇田が死亡するまで、俺は余り木島を意識してこなかった。
だが、宇田亡き後、俄然存在感を増した木島を自然と意識するようになると、それまで見えていなかった事に気付いた。
たぶん、木島は宮間に惚れている。
口には出さないし、態度にも出さないようにしているが、宮間を見る目と他の女子を見る目は明らかに違っている。
そして、その宮間は桂木にベッタリだ。
ワイザールの駐屯地では、全員に個室が与えられたのだが、宮間は桂木の部屋に入り浸っている。
宇田が生きていた頃は、あんなに仲睦まじくしていたのに、今では宇田と付き合っていた事など無かったかのように振舞っている。
たぶん、木島にしてみれば、宇田が死んだら次は自分……と思っていただろう。
だからこそ、それまで見せなかったリーダーシップを発揮してみせたのだろう。
そして、元ヤングループとの合流にも漕ぎつけたのに、待っていたのは桂木に固執する宮間の姿だったのだ。
それこそ、俺の何倍も寝取られた感を覚えているだろうし、僕が先に好きになったのに感もハンパないはずだ。
つまり、今の俺たちは、三匹の負けオス状態なのだ。
街をブラブラと歩きながら、俺は話を切り出す切っ掛けを探っていた。
事前に聞いていた、街の中心にある広場に行くと、思った通り男女のカップルが沢山歩いていた。
ワイザールのカップルは、日本よりも欧米かラテン系の密着度で、手を繋ぐよりも腰に手を回し、路チューなんか当たり前のようだ。
「ちっ、イチャイチャしやがって、爆発しろ……」
村上の愚痴には俺も全面的に賛成だし、木島ですら小さく頷いている。
話を切り出すなら、このタイミングだろう。
「なぁ、女を買いに行かないか?」
「行く!」
村上は、一も二も無く賛成した。
「木島は?」
「女を買うって、当てはあるの?」
「無いよ。無いけど、旅の恥は搔き捨てって言うじゃん」
「お金、足りるのか?」
「さぁな、でも日本でも一日分の稼ぎを突っ込めば、やらしてくれる女はいるだろう。こっちだって、探せばやれんじゃね?」
それでも木島は迷っているようだったが、村上が俺と二人でも行くと主張すると、覚悟を決めたのか頷いてみせた。
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