第145話 ゲスモブ、制裁を加える 5
イジメグループのリーダー、上宮小絵の家は成増駅から徒歩十分ほどの大きな一戸建てだった。
標準的な建売住宅ならば、六棟ぐらいは余裕で建てられそうな敷地に建つ二階建ての住居は、部屋も廊下も全てが広々と作られている。
別棟のガレージにはドイツ製の高級セダンとSUV、それにアメリカ製の大型バイクが鎮座している。
上宮の部屋は二階の東側で、畳にすると十畳以上の広さがあった。
部屋に置かれている品物を見ても、経済的には恵まれているはずだ。
少なくとも屋島桃華を脅して、金をせびる必要など無いだろう。
上宮は既にベッドに入り、寝息を立てていた。
昼休み、あんな事態に遭遇しておいて、まるで悩みや心配など無さそうな寝顔だ。
「喜べ、お前には特別な趣向を凝らしてやるからな」
布団の中にアイテムボックスの窓を開き、用意しておいたスタンガンを食らわせる。
上宮が身動きできなくなったところで、アイテムボックスに収集。
移動した後で放出した先は、埃が堆く積もった廃墟だ。
明かりは俺が用意したLEDのランタンが三つあるだけで、その光が届かない先は真っ暗闇だ。
ホラーマスクを被り、異世界の古着を身につけてアイテムボックスを出る。
俺の姿を見た上宮は、放り出されたテーブルの上で顔を強張らせた。
用意したロープを使って、上宮が大の字になるように手足をテーブルに縛り付け、復元の魔法を使ってスタンガンによる硬直を解いた。
「誰だよ、お前! こんな事してタダで済むと思ってんのかよ!」
「イジメは楽しいか……」
「お前……屋島に雇われたのか!」
「償え……」
喚き散らす言葉に取り合わず、皺枯れた作り声で答えると、上宮は表情を強張らせた。
二條を脅すのにつかった大振りのサバイバルナイフを取り出すと、上宮は態度を一変させた。
「待って! お金なら払う。屋島の倍出すから……ひぃ」
ナイフを襟元から差し入れて、パジャマを切り裂いてゆく。
嘉瀬の四分の一も凹凸の無い上半身を露わにしたら、パジャマも下着も切り裂いて下半身も露わにさせた。
「待って、止めて、お願い……私、バージンなの。お金ならいくらでも出すから」
「償え……」
「ひぃぃぃ……」
逆手に持ったナイフで、鳩尾から股間に向かって皮一枚程度の深さで切り裂いていくと、上宮は悲鳴を上げて失禁した。
「助けてぇ! 誰か、人殺しぃ!」
声の限りに上宮が叫んだところで助けなど来るはずがない。
ここは、俺が追跡してくる兵士を罠に掛けて殺した異世界の廃墟だ。
それでも、キンキンとした叫び声は耳障りなので、ナイフの切っ先を喉に突き付けると上宮は静かになった。
「償え……」
「何よ……謝ればいいんでしょ! はした金なんて倍にして返してやるわよ!」
「この期に及んでも金か……」
まるで反省する気配すらみせない上宮に怒りが湧いてくる。
テーブルから離れ、上宮から見えない所でアイテムボックスを開き、用意しておいたアイテムを取り出す。
グリップを握り、スタート用の紐を思い切り引いた。
ブゥーンっと大きな音を立ててエンジンが目を覚ます。
「いやぁぁぁぁぁ!」
エンジンをふかしながらチェーンソーを見せ付けると、上宮は絶叫して暴れ始めた。
「止めてぇ! 助けてぇ! 殺さないでぇ!」
絶叫する上宮を無視して、右足を膝の上で切断する。
ぶっちゃけ、廃材を何本か試し切りしただけで、チェーンソーの扱いには慣れていないから目茶苦茶緊張している。
「いぎゃぁぁぁ! いだい、いだい、いだぁぁぁぁぁ……」
分解の魔法でスパっと切り落とすのと違い、チェーンソーでの切断は相当な痛みを伴うようだ。
飛び散る血飛沫に塗れながらも、なんとか右足を切り落としたら、テーブルを回り込んで左足の切断に取り掛かる。
「止めてぇ! 止めてぇ! 助けてぇ!」
上宮の悲鳴をガン無視して、慎重に左足を切り落とした。
「いだい、いだい……死にたくない……死にたくないよぉ……」
左足も切り落とすと、上宮の動きが弱々しくなった。
もう助からないと半分諦めたのかもしれない。
そこで復元の魔法を使って、切断前の状態へと体を戻した。
「えっ、どうなってるの?」
突然痛みが消えて、感覚が戻った脚へと視線を向けて上宮は首を傾げている。
そこで、止まってしまったチェーンソーのエンジンを再び始動させた。
ブーン、ブーンと上宮の顔の前でチェーンソーをふかして見せる。
「もう止めてぇ、痛いの、すごく痛いのぉ!」
「お前は、止めてと言われてイジメを止めたか?」
「だって、あれは屋島が……ぎゃぁぁぁぁ!」
言い訳を始めた上宮の右腕を肩の近くで切断する。
上宮の絶叫、チェーンソーのエンジン音、刃が肉を抉り骨を砕く音が響く。
「許してぇ! もうしません! お願い、止めてぇ! いぎゃぁぁぁぁぁ!」
上宮の悲鳴を聞きながら、左腕も肩の近くで切り落とす。
更にテーブルを回り込んで、チェーンソーを上宮の股の間に構えた。
「貴重な初体験だ……」
「いやぁぁぁ! いやぁぁぁ! いぎゃぁぁぁぁぁ……」
フルスロットルで回したチェーンソーを上宮の股間から臍の辺りまで突き入れてから引き抜いた。
ガクガクと痙攣を始めた上宮を魔法で元通りに復元する。
「嫌ぁ……もう許して、もう絶対イジメはしません。屋島にも謝るから、お金も全部返すから……」
上宮の懇願を聞きながら、三度チェーンソーのエンジンを始動する。
二度、三度とエンジンをふかしてからチェーンソーを上宮の首の上に構える。
「止めてぇ! もうしない、絶対しないから!」
チェーンソーのスロットルを開けて、ゆっくりと刃を下ろしていく。
「もうしません! 許してぇ! 殺さないでぇぇぇぇぇ!」
「嘘だったら……次は元に戻さない……」
ガクガクと頷いた上宮にスタンガンを食らわせ、手足のロープを解いてからアイテムボックスに収集。
衣服と体を復元させてから、自室のベッドの上に放り出した。
いきなり自分の部屋に戻された上宮は、両腕で体を抱え、ガタガタと震えながら部屋の中を見回している。
「ちゃんと償えよ……」
「ひぃ!」
上宮の耳元で囁いた後、チェーンソーのエンジン音を天井、床、壁と場所を変えながら響かせた。
「いやぁぁぁぁぁ!」
深夜の家に上宮の悲鳴とエンジン音が響き渡り、両親らしき男女が血相を変えて起きてきた。
これでイジメグループへの制裁は完了だろう。
後は、ちゃんと謝罪や賠償がなされたか確認して、ここまでやって反省しないなら、リア充グループが遭難しかけた森に放り出してやる。
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