ニナ・リント、テストパイロット: 3

「印象はどうだ」

「クイックネス、シャープネス、かな。重量感があるのに、びっくりするほどキレがいい」

「安定性は」

「中低速域は安定してるよ。そこからガツンと加速する感じが最高だね。マッハ10超えたらわかんないけど」

「それは次回だ。旋回時は?」

「いまんとこ問題は感じなかった。しいていえば、乗り手を選びそう」

「お前は気にしなくていい」

「うん。気にしてない」




「フレームは硬いか、軟らかいか」

「ちょうどいい。飛ばせば飛ばすほどいいね。振動をうまく吸収して、散らしてる感じがする。気になるのはアウトリガーだよ」

「どう気になる」

「遊びがなさすぎるのかな?フレームを引っぱる感じがする」

「根元から抜けそうか」

「折れるかも。急旋回のときはね。もっと補強しろっていっといて。できれば作り直したほうがいい」

「ステイサムも同じことをいっていた。最優先にしよう」




「燃費、悪くない?だいじょうぶなの?」

「拠点防衛を想定している。ガス欠になる前に戻れ」

「えぇー?いったりきたり、いそがしくなりそうだね」

「実戦ではそこまで振り回さないだろ。気になるなら外づけの予備タンクを試してみるか」

「んー……バランス悪くなりそうだし、とりあえずいらない」




「前もいったけど、ディスプレイなんとかならないかな。レーダー、拡大しようと思ったら縮小になるんだ。ならびもなんか変だし」

「操作性なら、ソフトウェアメーカーの領分だ。報告は上げた」

「対応してくれそう?」

「返事がないのならそれまでってことだな。慣れろ」




「アウトリガー、よくなった。ただ、全体としてはかえって神経質になっちゃったかな」

「具体的に」

「ピーキーっていうか……すべてが超どんぴしゃのタイミングじゃないと拒否られる感じ。ハマったときはいいんだけどね。飛ばしてて、すごくストレスフル」

「プログラミングで調整できるか、やってみよう。明日シミュレーターに乗れ。その場で確認しながら直す」

「どのくらいかかりそう?」

「まず二時間試してみる。それで見込みがなければあきらめろ」

「わかった。お願いします」

「ステイサムは特に何もいっていなかった。仕上がったら、お前専用のセッティングになるかもな」

「やったね!」

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