魔法の世界について
魔法の世界の設定についてメタ的な観点から説明します。
本編だけでは世界観がわからないと思うのでぜひ読んでみてください。
魔法の世界では現実に存在する原子のほかに魔素という粒子が存在します。その魔素が塊となって特性を持ったものを魔力と言います。魔素は基本的に研究者の間でぐらいしか使われない言葉です。
魔力は火、氷、風、雷、地、光、闇この7種に分類できると考えられています。魔力には強さがあり強さは魔力をどれだけ圧縮しているかで決まります。
火:振動を起こすことによって温度を生み出す魔力。物質としては気体に近い。多くの家庭に重宝され、最も使用される魔力。爆発を引き起こすことによって物理的な力を生み出すことにも使用される。
氷:振動を止めることで温度を下げる魔力。対象を冷やすためにくっつく必要がある。なので基本的には固体として現れる。冷やすことを目的とするだけでなく、単に操りやすい固体としても使用される。
風:直接動かすことによって物理的な力を引き起こす魔力。イメージとしては透明なシートを形成できる魔力。シートを団扇にして風を起こす、シートで直接くるんで物を持ち上げるなどができる。他の魔力と併用されることが多い。
雷:電子の様な特性を獲得した魔力。通り道には磁界や抵抗による熱も発生する。ほとんど質量をもたず、とても速い速度で移動することができる。しかしその軌道と速度は制御可能で普通の電気とは異なった動きをすることもできる。
地:魔力同士で結合することによって固体となり質量を獲得した魔力。理論上、結合の形や魔力の形を変えることによってあらゆる固体の模倣をすることができるが、人間には難しいようだ。基本はその場にある固体を模倣した見た目になるので土や岩の姿を取ることが多く、地と名付けられた。見た目がなんであろうが硬度は魔力の強さに依存する。
光:最も魔素に近いと言われている魔力。最も威力の高い魔力で、魔力と直接ぶつかることによって崩壊させることができる。また結合させることにより物理的な結晶を作ることができる。この結晶の硬さは氷の魔力以上、地の魔力以下とされているが魔力を打ち消す特性があるので一概には言えない。この魔力は特に魔力を消滅させるための光線として放つ場合、光を伴うので光の魔力と名付けられている。光線とした場合は光の速度に近くなるぐらい加速させることができる。
闇:最も細かく操作することができる魔力。黒い粒子として発現するので闇の魔力と名付けられた。操作が細かくできるが、その分扱うのが難しく、うまく扱ったとしても風魔法のように力を発生させることも、耐久力を出すことも難しいため使用者が最も少ない魔力。しかし美術品などを精巧にに仕上げる際に用いられてるほか、戦闘では敵の体内に侵入して息の根を止めるなどして活用されている。
上記の七種類のどれに属するか微妙なものもあります。作中ではヨシノの音魔法がそれにあたります。音を増幅したり打ち消したり。これは風魔法の一種で、通常の風魔法より小さく、振動としてふるまいます。この魔力で空間を満たせばその空間から音を奪うこともできますし、敵の心臓に送り込めば心臓の動きを止めることが可能です。
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次に魔力と生物の関係についてです。生物は魔法によって身体能力を強化しています。地の魔力で体を頑丈にしたり、魔力で細胞に命令を出して傷を再生したりしています。傷の再生についてですが、切り傷を直したり、切断されてしまった腕をくっつけたりすることはできるものの、一から失った腕を作ることは難しいです。こういった生物の機能を強化する魔法以外の魔法を発動させる生物を'魔物'と言います。この定義でいうとほとんど魔法を扱うことができる人間という種も'魔物'ということになります。
魔力を操ることを魔法と言いますが、魔法を人の能力をあまり介さずに発動させることを'魔術'と言います。魔術は魔力をよく通す素材で'魔法陣'という記号を描き、そこに魔力を注ぐことで発動させます。この魔法陣というものはプログラミングでいう機械言語の様なもので、人間が理解することはまずできません。しかし人間もこの魔法陣を脳で作り出すことによって魔法を扱っています。魔力が小さなコンピュータ、脳に人間のイメージを魔法陣に変換するコンパイラが入っていると言えばわかりやすいでしょうか。魔法陣として書き起こすことによって(扱い方を覚える必要はありますが)手軽に魔法が扱えるようになります。他にも人間ができないような精密な動作をさせることも可能です。
作中の主な魔術の例はカイトの短剣です。彼の短剣には刃先に鋭いつららの刃を生成する魔術が仕込んであります。精密に刃を作るためには強く集中することが必要ですが、彼はいちいち集中するのを煩わしく思い、作成するのに苦労したものの魔術にすることで手間を大きく減らしました。
人間の魔法の習得(特別な意識をせずとも念じるだけで発動できるようになること)にはさまざまな道があります。
突然使えるようになる:ほとんど脈絡はなく魔法を習得する。この現象は幼少期に多く起こる。他にも大きなショックを受けた時に起こることが多い。いわゆる才能での習得。
魔法を模倣する:親や師匠が扱う魔法を真似する、またはどういう感じで発動させているかの説明を受けることで魔法を習得する。自然現象からヒントをもらって魔法を思いつくこともある。才能と、偶然と、努力による習得。
魔法陣を反芻する:魔法陣を頭に思い浮かべ、頭の中の魔法陣を介して魔法を発動させ続けることによって魔法を習得する。才能はほとんど関係なく、努力による習得。
これらは新しい魔法を生み出すときにも当てはまります。知識と論理によって新しい魔法を生み出す研究者もいれば完全に何もないところから思いつく天才肌な研究者もいます。
魔法を扱うことのできない人間が作中で登場しています。イナミ博士です。彼は生まれつき脳に魔力を操るためのコンパイラが存在しませんでした。そのため魔法陣を反芻することすらできません。しかし彼は必死になって魔術について学び、博士になることができました。
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次に魔法と文明についてです。人間は魔法の一般化によって快適な生活を手に入れつつあります。火は魔法によって起こせますし、魔力があるのなら薪すら必要ありません。火を起こす魔法を扱えない人物でも、値は張りますが瓶に詰められた魔力を含む水を燃料としたカセットコンロの様な道具で手軽に火を扱えます。しかしこのカセットコンロのように完全に人の手を介せず魔法を発動させる道具は主流ではなく、魔法の発動を補助する道具が主流です。冷蔵庫を例に挙げますと、魔力を注いでおくことによって自動的に冷やされ続ける方式は少なく、大きな氷を作り出すのを補助する魔法陣で定期的に氷を作っておくという方式が主流です。この補助魔法陣を扱えない人間は業者に頼んで氷を作ってもらいます。
他にも魔法を利用した様々な道具がありますが、現実の文明の主流である火薬や、歯車などの機械はあまり発達していません。魔法のほうが便利だと思われているからです。現実では機織り機がありますが、魔法の世界にはありません。手作業がめんどくさいので機織り機の様な道具が発明されたと思うのですが、魔法の世界では糸を操るための魔法を修行することによって解決できてしまいます。それにイナミ博士のように魔法を全く扱えない人間が少ないものですから、人間は'道具の発達'というより'魔法の発達'によって発展したと言えます。
作中に'危険地帯'という言葉がたびたび登場します。これはほとんどの人間が手に負えない魔物が出現する土地のことです。人間はこの危険地帯を避けるようにして集落を作り、生活しています。危険地帯をかいくぐるように道を作り、集落同士をつないでいます。魔法の世界にも大きな集落、都市と言われる場所があります。しかし都市の多くは危険地帯に足を踏み入れられるように作られたものが多く、よく魔物が襲撃してきます。そのため都市には警備のために兵士が多く配備されています。魔法の世界では戦争がなくとも兵士の需要は無くなりません。
一般に兵士は量産型の下っ端に使われる言葉です。特別な能力を持ち、強大な戦力になる兵は騎士と呼ばれます。もちろん騎士の中にも上級中級下級などの区分けはありますが、あまり一般的ではありません。
魔法の世界での旅には多くの危険が伴います。すでに作られた街道を歩くだけならそこまで危険ではありませんが、道をそれれば多くの魔物が襲い掛かります。力のない人間は集落から移動する際に護衛を雇ったり、狩猟団に相乗りさせてもらったりします。魔法の世界では魔物と戦う能力を持っていればくいっぱぐれはないと言われています。兵士として雇われなくとも都市や町の防衛を手伝うもよし、賞金首を捕まえるもよし、魔物を狩ってきてその素材を売るもよし。そのため都市や町には多くの日雇い労働者の様な人間がいます。彼らは毎日酒場に集まり、儲けた金で騒いでいます。酒場は仕事の仲介所としても働き、都市の中にそういった日雇い労働者たちを斡旋する組織が存在するところもあります。
本編との矛盾や食い違いがあればぜひご指摘ください。
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