第2話 生贄

 朝、起きると先ずは携帯をチェックする。なにか大々的に載っているニュースがあるぞ。関東南西部に一ヶ月以内に巨大地震の確率90%か……。


 ここじゃん!


 隣で寝ていた凛も起きてきて。


「わたくしめがこの世界にいるとの事は夕菜様が生贄になるからです」


 はい???わたしが生贄???


 混乱するわたしは取りあえず一階に降りる。


 おや?客人だ。


 スーツを着た黒メガネと隣の家の神社の神主のおじさんである。


 嫌な予感がするな~。


 黒メガネは政府要人の秘書を名乗り、神主のおじさんは生贄がわたしである事を言うのであった。凛も納得した様子である。


 両親は目が点である。これで素直に生贄に差し出されたら児童虐待で訴えってやる。


 そこでだ、さて困ったぞ……。わたしは前世の記憶として一回死んだ記憶がある。


あれは厳しいな……。


 黒メガネはわたしの歪んだ顔をみて。


「麻酔があるので大丈夫です」


 正確にわたしの考えている事がバレたのである。


 そうそう、逝く時は幸福な気持ちで……。


 ちがう!NO,NO,NO!!!


 わたしが顔芸をしていると両親が考え込んでいる。そこは全否定でしょ、カネか?政府要人の秘書がいるのでカネか?


「巨大地震の正確な予知は一ヶ月後です。それまで有意義な人生を送って下さい」


 黒メガネは静かに語り、両親は頷く。これは決定事項なのか……。こうして一ヶ月間の余生を送ることになったのである。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る