またね

「先輩!来週の大会出ないって本当ですか!?」


「ああ、三年が優先に決まってんだろ」


そう言いながら下駄箱から靴を取り出す。


「先輩の方が良いとこまで行けるのに…」


「そうか?」


靴を履いて外に出る。肌を焼くみたいな太陽から伝わる熱に嫌気がさす。


「今日も暑いっすね~」


「そうだな…」


アイツがいなくなってから一年半が経った。小学生の突然の失踪なんてよくあること、捜査なんてすぐに打ち切られた。しかもアイツは孤児院で育てられてて、それが原因の家出だと思われたらしい。でも俺にはとてもそうは思えない。


「先輩!早く帰りましょー!」


「おう」


でもまた会えるんだよな。


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片思い恋愛日常モノの珍しい終わり方 大西 詩乃 @Onishi709

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