学校帰りに
加奈子と別れて、わたしはおばあちゃんの家へと向かった。とにかく、神本書店の本やおじいちゃんの仕事道具を見てみるしかない。
わたしがやらなくちゃ、本当に神本書店はなくなっちゃうかもしれない。
そうなったら。おじいちゃんの作った物語たちは……。誰にも読んでもらえなくなるかもしれない。
おじいちゃん、言ってた。
『物語は、誰かに読んでもらってこそ、意味があるものだ』
それに、こうも言ってた。
『誰にも読んでもらえない物語は、紙くずと一緒だ』
このままだとおじいちゃんの作った物語たちは、『紙くず』になってしまう。それは、なんとしてでも、阻止しないと。でも、どうやって……。
そう思っていたら、後ろから声をかけられた。
「……神本」
「は、はいいいっ!」
急に声が聞こえて、わたしは思わずとびあがった。声のした方を振り返ると、そこには桐谷くんが立っていた。彼は、わたしの方へすっと歩み寄ってくると一言。
「……オレも手伝う」
「え」
桐谷くんの真剣な顔に、わたしは思わずみとれてしまう。わたしが聞き返すと、桐谷くんは少し苛立たしげに、頭をかいてもう一度言う。
「オレも手伝うって言ったんだ。神本書店の物語づくり」
え、え、えええええええっ!?桐谷くん、今なんて言った!? 物語づくりを手伝ってくれるって!?
「で、でも! まだ具体的にどうするかは決まってなくて……っ」
わたしがあわてて言うと、桐谷くんは顔をしかめる。
「何をするかは、分かってるんだろ」
「そ、そりゃあ……、新しく物語を作って……」
「まずは、現状把握からだ」
げ、ゲンジョウハアク……? 何それ、おいしいの?
多分、わたしの頭の上にハテナマークが浮いてんだと思う。桐谷くんは、これみよがしに肩をすくめてみせる。
「
うっわー。桐谷くん、口が悪い!イケメンそのほか今までのわたしの想像は撤回!
彼は口が悪い、見た目でだます天使です! ハイ決定!
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