第5話

「かいくんはー」


「んー?」


 いつものように放課後デート中の夜ご飯を決める買い物で、詩音は海に話しかける。


「かいくんは、私が家事するからしなくていいよーって言ってるのに、頑なに手伝いたがるよね。なんで?」


 普段………というかこの二人は既に小学生の頃から家の手伝いとして、洗濯や料理、掃除などは一通りマスターしてしまっている。最初は詩音が出来るお嫁さんは家事万能!ということを詩音ママに聞いたため、良いお嫁さんとなるためにしていたのだが、二年後くらいから何かに気づいた海も詩音につられるように家事をし始めた。


「なんでって……この前理由話さなかったっけ?」


「そうだっけ?でもでもー、めちゃくちゃ嬉しかったような気がするな~。もう一回かいくんの口から聞きたいなぁ~」


 あからさまに覚えてるけどもう一回聞きたいアピールをする詩音。


「……ったく。嫁さん1人に家事をさせるなんて俺の心が許さない……それに、一緒にやった方が、二人の時間が増えるし、二人の時間が増えるから……詩音の為だよ」


「やん!かいくん、私超嬉しい!」


 ガバッ!と海に抱きつく詩音。その頬はにへにへ~だらしなくたるみきっており、好き好きオーラが出まくっていた。


「……ほら、詩音。さっさと買い物終わらせて家でのんびりするぞ。今日は珍しく母さん達が作ってくれるらしいからな」


「ほんとに!それじゃあ夜ご飯食べるまでずっと一緒にいようね!」


 この日、とあるスーパーでブラックコーヒーが大量に売れたという事件があったそうな。




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夫婦以上恋人未満なカンケイ 結月アオバ @YuzukiAoba

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