第2話 供えられた花

「暗くなってきたし、帰るか、、、ヒトミ。」


「うん、、、ユウリ。」


ただ、いつものように名前を呼び合うだけなのに。


長い付き合いがあるとは思えない初々しさが、そこにはあった。


誰もいない通学路を二人は手をつないで歩いた。


「までーー!!」


静寂の通学路に、響くこの声にユウリは聞き覚えがある。


「なんでいんだよ、キョウカ」


「やっと見つけたわ、聞きたいことがあるの。」


「え?」


「てか、その子誰??」


「ああ、幼馴染の、、、」


「恋人の!ヒトミです。初めまして、キョウカさん」


「こ、恋人?」


「やっぱり噂は本当だったんだ」


噂と聞いてユウリはあの3人組を思い出した。


「あいつらか、、、」


「ねえ、ユウリあんた好きな人いないって言ってたよね?」


「あー、そうだっけ」


「恥ずかしくて言えなかったんだよね、ユウ君」


「まあ、そんなとこ?」


「てか、ユウ君って何。」


ヒトミの本能がライバルはキョウカだとが察し反射的に


対抗策になりそうな手段に愛称を選んだのだ。


「一緒にサッカーしたり、トランプやったりしてたからてっきり私のこと好き


なのかと思っちゃったじゃん。ユウリのバカ、、、」


「そんなの、、、」


勝手に好きになっただけじゃん、そう言えたら楽だったのに。


「ごめんな、キョウカ。思わせぶりなことして」


「ううん、勝手に思い込んだのは私だから。」


「ヒトミ、あなたの次は私だからね。覚悟しておいて」


「ええ、覚悟しておくわ」


それだけ言って、キョウカは帰っていった。


そして再び、静寂が訪れた。


「びっくりした、ユウ君モテモテだね。」


「ありがたいんだけどね、、、」


そう、愛想笑いし歩き始めた。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

17番目の花 淡い夜 @awayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ