17番目の花

淡い夜

第1話 月の下

「どんなに愛でていても、いつかは枯れてしまう。


でもね、そんなか弱さこそが花の魅力なんだよ。」


なにそれー


わけわかんなーい


せんせーーこっちきてーー


小学5年生の頃、花壇に水やりをしていた時に担任の先生が言っていた言葉。


「ふふ、先生何言ってんだろうね」


隣で静かに笑っているヒトミを見て


「ほんとだ」


そういってヒトミに笑い返す。


ヒトミとは、幼馴染でいつも一緒に遊んでいる。同級生だ。


正確には好きな人。


肌が白く、きれいに手入れされた長い髪が特徴のおとなしい性格な子だ。


「おーい、ユウリサッカー来いよーー」


グラウンドから聞こえてくる声の方向を見ると、大きく手を振って呼んでいる


友達が見える。


「めんどくせーからいいやーー」


そういい返すとがっかりして遊びに戻っていった。


「いいの?行ってきなよ」


クスクス笑うヒトミに


「うるせぇし」


とだけ言い、また花を見つめる。


「花、、、好きなんだ」


「ちょっとだけね、、、あ」


キーンコーンカーンコーン


おーい、教室戻るぞーー。


昼休みが終わった。



そして、5.6時間目の授業を終えて帰り支度をしていた時のこと


「おいユウリ!なんでさっきサッカー来なかったんだよ!」


「お前が来なかったから負けたじゃねーかよ」


「そーだそーだ」


昼休みにサッカーに誘ってくれた奴らが試合に負けたいちゃもんを付けてきた。


「ん?めんどくさかったから」


「嘘つけ!お前ヒトミと一緒にいただろ!」


「まじ?お前ら付き合ってんの?」


「うぇーい、カップルカップルー」


「そんなんじゃねぇよ!!ぶっとばすぞ!!」


「ユウリが照れてるってことはガチじゃん!」


「カップル誕ー生!!」


「誕ー生!誕ー生!」


疑われても仕方ないところを見られてしまって、言い返せないユウリに


ヒトミが寄ってきた。


「ユウリ、一緒に帰ろー」


「うん、帰ろ」


ヒトミの話に入ってくるタイミングの悪さに口出ししたかったが、


今はこの面倒臭い3人組から逃げることが優先だと思い、ヒトミの手を引いて


その場から逃げた。


ーーーーはぁ、はぁ、はぁーーー


空き教室に入り何とかうるさい3人組を撒くことができた。


「やっと、逃げ切れた」


「ユウリ足早すぎ、こんなに走ったのいつぶりかな」


「ごめんな」


「いいって、あいつら面倒くさかったし」


クスクスと笑うヒトミと気まずそうなユウリ。


「ねぇ?ユウリ、私ユウリのこと好き」


「え?」


「好き」


「そんな面と向かって言われても、、、」


「ユウリは?好き?」


「う、うん。好き」


「よかった!これで私たち両想いね。これからは堂々とカップルとして歩けるね」


まるでドレスを着てるみたいにクルリと回転して見せるヒトミ。


ああ、久しぶりに見たな、ヒトミのはしゃぐ姿。


「そうだね、これからヒトミは俺の かのじょ だ」








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