笹宮達が次に向かう場所は!?
秋作さんを信用するな……。
美桜にそう言われて、俺は四季岡ファミリアのことを調べることにした。
こうしてまとめた資料を、俺は自宅に招いた結衣花と楓坂に見せていた。
「四季岡ファミリアに疑似直感AI……。お父様がこんなことをしていたなんて……」
楓坂は資料をペラペラとめくりながら、半ば呆れたようにつぶやいた。
「悪いな。楓坂の親父さんのことを調べるようなことをして」
「大丈夫ですよ。お父様は良くも悪くも、掴みどころのない人ですから」
楓坂自身もかなりぶっとんだ性格をしているが、秋作さんはさらに上を行くからな。
もし楓坂と結婚とかしたら、秋作さんが義父で旺飼さんと親戚になるのか……。
濃いなぁ……。
でも楓坂との結婚生活って、意外と悪くないのかもしれない。
料理も美味いし、今は掃除機や洗濯機も使える。
つーか、付き合う前に結婚を考えるとか、俺も歳取ったなぁ。
「お兄さん?」
まったく関係のない妄想をしていた時、結衣花の声が俺を現実に引き戻した。
「あ、ああ……。すまん。まぁ、イベントはとにかくトラブル回避と対策が重要だからな。事前に問題は解決しておいた方がいい」
いかんいかん。
変なことを考えていたら、結衣花に何を言われるか……。
つーか、バレてないよな。
結衣花って読心術ができるんじゃないかってくらい、俺の考えを見抜く時がある。
今のところは……、よし! セーフだ!
すると結衣花は言う。
「なんで『勝ったぜ』みたいな顔をしているの?」
「俺、そんな顔をしてた?」
「うん」
どうやら心は読まれなかったが、表情には出ていたみたいだ。
ここからまたいじられるのかと思ったが、結衣花はテーブルに広げてある資料を指さして訊ねてくる。
「ねぇ、お兄さん。ここに『先代の四季岡ファミリアのリーダーがいる』って書いてるけど、この人に聞いてみたらわかるんじゃない?」
なるほど。秋作さんに聞いても教えてもらえないだろうから、先代リーダーをアテにしようということか。
しかし……、
「確かに事情を知ってそうだけど、どこに住んでいるかわからないからな」
「たぶんわかると思うよ。だって四季岡ファミリアって、ネットに暗号をバラまいてメンバー集めをしていたんでしょ?」
「ああ、昔はそうだったらしいな」
「ということは、こういうマニアックなことに詳しい人に頼ればいいんだよ」
「誰だそれ?」
暗号とかに詳しいマニアックな人。
そんな人、身近にいたか?
……と、ここで俺はある人物を思い出した。
それは結衣花の姉で、プロファイルを勉強していた女性。
「……あっ!
「うん」
それから俺はすぐに香穂理さんに連絡をして、事情を説明する。
すると彼女は知っている情報を教えてくれた。
電話を切った俺は、すぐ傍にいる二人にその結果を伝える。
「やっぱり知ってた。香穂理さんが言うには鹿児島に住んでるらしい」
「鹿児島かぁ。遠いね……」
「そうだな……。俺、ゴールデンウイークの後半はスケジュールが空いているから、ちょっと行ってくるよ」
◆
そして数日が過ぎ、ゴールデンウイーク後半に入った。
俺は荷物をまとめて羽田空港へ向かう。
チケットの手配を済ませてベンチに座り、ふーっと息を吐いた。
なんで飛行機って、乗るまでに疲れるんだろうな……。
そんな事を考えていた時、すぐ近くで聞き覚えのある声が聞こえた。
「結衣花さん、見てください! 変なお土産が売ってますよ!」
「本当だ。浮気男撃滅クッキーだって」
「このマヌケ顔。笹宮さんっぽい」
「あ、言われてみると似ているかも」
似てねぇよ!
俺は思わず心の中でツッコミを入れた。
ベンチから立ち上がった俺は生意気な女子高生と暴走気味の女子大生に近づく。
「なんで二人ともいるわけ……」
すると楓坂は長い髪を手で払って答えた。
「実は次世代AI展で公開する動画制作が難航していて、気晴らしに旅行しようって話をしていたんですよ」
「あのなぁ。俺は仕事のために行くんだぜ? そこんところ、わかって欲しいな」
「とかいいながら、その手に持ってるのは何ですか?」
「鹿児島グルメ&観光スポットガイド」
「遊ぶ気満々じゃないですか」
■――あとがき――■
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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次回、飛行機に搭乗。三人掛けの席でなにが起きる?
投稿は朝7時15分。
よろしくお願いします。(*’ワ’*)
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