第5話 力の使い方


「良い?まずは感覚をつかみましょう。心を静めて。目を閉じるといいわ。

そうして暗闇の奥にあるものを見るの」


「な、なんだよそれ」

「いいから!まずは目を閉じるの」

__ったく、いきなりやれって言われてもわかんねぇよ、、


恭信はそう思いながらも、瞼を閉じた。

「そして、闇の中にいることを自覚して」


片目を失ってるからだろうか、なんだか感覚が敏感になっている。

ねむくなってくるなぁ、、


「奥にあるものを見て」


__奥にあるもの??


なんか光って・・・



ブワァァァ!!っと顔が近づいてきた


「うわっっっ!!」

額には汗がにじんでいる。


「何が見えたの?」


「あの時、襲ってきたあの女の顔・・」


「そう、それが奴らの世界をこちらから感じ取った証拠。うまく認知することができたのね」


それよりもなんだか左目が熱い・・

幻視痛ってやつか・・?


恭信が左目に違和感を感じていると

「あ、それと左目。鏡で見てみなさい」


そう言うと夜はどこから取り出したのか、手鏡を自分に向けてきた。


「あれ・・目、あるじゃん」


恭信の左目には、瞳の色が青く光っている眼球がすっぽりとはまっていた


「力を使うときだけね、体に変化が現れるの。私は髪が銀色に変わる。あなたの場合目に現れたみたいね。半ウォーカーのようになっていたから、きっとそうだと思っていたわ」


なんにせよ、目が戻ってきてよかった・・


「ただ、ほかの人には見えないから、普段は眼帯か義眼を入れるのをお勧めするわ」


そっか、そりゃ普通には戻ってこないのか、、


「目、取り戻してえなぁ、、なぁ、元には戻らないのかな」


「どうかしらね、考えたことないわ」


「そっか・・」


恭信は少し考え、こう続けた


「俺さ、ふっつーの人生送りたかったんだ。普通に就職して、結婚して、親父になって、子供が結婚して、爺さんになって、、大好きな嫁と一生笑っている。そんな事を考えてた。」


「けど、仕事も辞めて、実は長男でさ。地元にいる弟は結婚して、子供もいて、、

俺なんかって考えてたら実家も帰れなくなって、、」


「けどさ、巻き返すならここしかない、これが最後のチャンスだ。やってやる。普通の幸せ、こっから掴んでやる。だから目ん玉取り戻す!・・・どうかな?」



黙って聞いていた夜が口を開く


「いいんじゃないかしら。あなたのこと何も知らなかったけど、悪い奴じゃないってのはすごく伝わったわ」


「まぁ、突然どーしたって思うよな。ただ、俺なりの決意さ」


「そう、、じゃあ、少しでもあなたが夢を叶えられるように、次、行くわよ」


「あ、まだ続くんだ、、」


そう言うと夜は物騒な鈍器を取り出してきた


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息を殺して夜を待つ きょろすけ @kyo-suke777

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