第3話 一寸先は闇


「おかえりいいいい心配したんだよおおお」

扉を開けた途端、体格の良い中年の男性が夜をめがけて飛びついてきた。

「いい加減にしろお!!」

グァシ、と拳が顔にめり込んでいる。

「あらあらごめんなさいねぇ、お父さんったら」

夜の母親だろう、整った顔とスタイルの良さが、年齢を全く感じさせない。

「な、仲良し家族だな、、」

「お父さん!もういい加減にしてよね、私もう18だよ?いつまでも子供みたいに、、」

「いいじゃないかぁ夜ちゃん、パパにとってはいくつになっても

かわいい子供だよぅ」

「あら、お母さんにとってもそうよぉ」

「お母さんまで!!」

そんなやり取りが続き、、


「あのぅ、、そろそろお話うかがってもいいですか、、?」

安信は声をかけた。


「おっと、すまないね、自己紹介もまだだった。私は夜の父親の 望月 群青ぐんじょうだ。」「妻の紫苑しおんです。」

「君がウォーカーに襲われたんだね?」

「はい、」

「そうして、片目を失ったと」

「そう、ですね。見えるのは見えるんですけど、触っても何もないというか」

「それはね、君の体がウォーカーになってしまう途中でうまく混ざり合ってしまったのだろう」

「混ざり合った?」

「そう、君は耐性があったのだろう、私たち望月家はもともと耐性のある一族で、その力をほんの少し使えるんだ」

「あ、もしかして夜があの時銀髪だったのって、」

「お、察しがいいね君。その通りさ。我が一族は特異体質でね、ウォーカーに対する耐性がとても強くて、そう言った異能の力が使えるのさ。他にもあまり居ないんだけど、一般の人にも耐性がある場合もある。」


「それが俺の場合なんですね」


「そういうこと。まぁ、耐性があっても後々変異してしまったりする人が多いんだけどね」

恭信は群青のその言葉に、息を飲んだ。


そうか、今の状態がいつまで続くか、、

普通に戻れるのか、それとも、、

あまりにも非日常が続いたせいで、これが夢ではない、と言う事を忘れていた。


会話の最中、頬を軽くひっぱってみた。

「醒めないよなぁ、」

天然パーマの髪の毛をクシャッとかきあげながら、現実であるという痛みを感じていた。

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