第30話 十界会議

「おぅ、めんどくせぇけど来てやったぜ」

「遅れてすいません」

 偉そうに入ってきたスケロクの後ろで、ペコリと頭を下げるのはメガネだ。

 スケロクは相変わらずの頑固オヤジでこんな時も下駄に半纏はんてん煙管キセルを加えて会議に出席。

 メガネは名前通り眼鏡をかけており、まるでうだつの上がらないサラリーマンだ。しかし、その眼差しは厳しく、むしろ眼鏡というフィルターを通さなければ目を合わせるのが怖いくらいだ。

「ん、意外と揃ってるのぉ」

 メガネの後に入ってきたのが局長であり第一界、ホワイングである。

 各々が席についていく。

「メガネ殿、お飲み物は?」

「冷たいお水をよろしくお願いします」

「セバスさん、こちらもお茶をくれねぇか」

「熱い緑茶でよろしいですか?」

「あぁ、ワリィな」

 セバスがシュバッと消えたかと思いきやメガネには冷水、スケロクにはお茶が目の前に置かれた。

「ホワイング殿はどうなさいますか?」

「ワシは大丈夫じゃよ、ありがとう」

 そう返事をすると、セバスが席に着く。

 横を見ると、カグラの前には既にオレンジジュースが置いてあった。いつの間に!

「全員、席に着いたね」とフォーゼ。

「うむ、では始めるかの」

「ゴホン」とホワイングが咳をした後、続ける。

「これより、臨時“十界”合同会議を行う!」

 場の空気が一気に締まる。ここでおさらいだ。

 

 第一界…ホワイング

 第二界…フォーゼ

 第三界…スケロク

 第四界…メガネ

 第五界…ザック

 第六界…クラップ

 第七界…セバス

 第八界…マトラ

 第九界…クロック

 第十界…カグラ


 出席はこの十名。だれもが実力者だ。ちなみに1〜10までの数字はあくまで“十界”に加入した順番であるため、強い順というわけではない。しかし、加入が早い者ほど異世界術の経験値が多いため結果的に数字が若い程、強くなっている。

 ホワイングは宣言の後、言葉を繋げる。

「皆に今日集まってもらったのは他でもない、まずは決定事項から連絡する」

 なんだろうか。決定事項?

 マトラも含め、全員の視線がホワイングに集まる。

 そして、予想もつかない一言を言い放った。


「数日後、“十界”総員による地獄への襲撃を行う!」




─────つづく

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