第28話 そうだ、会議に行こう

 マトラはカツカツと靴を鳴らして会議室へ向かう。カグラも誘おうとしたら既に向かったようだったのでとりあえず一人で向かうことにした。

 十界メンバーが全員集まるのは突然の会議か年末年始の集会だけだ。前の会議はいつやったっけ?一年……下手すりゃ三年前か?

 そうこうしているうちに会議室に着き、息もつかずにドアを開く。

 中は大きな長机が中央にあり向かい合って椅子が並んでる。特に席は決まってないが、だいたい番号順と決まっている。


    2 4 6 9 ×

  1 ────長机────

  3 5 8 10 7


 だいたいこのような席で以下の十人が座る。

 

 第一界…ホワイング

 第二界…フォーゼ

 第三界…スケロク

 第四界…メガネ

 第五界…ザック

 第六界…クラップ

 第七界…セバス

 第八界…マトラ

 第九界…クロック

 第十界…カグラ


 ついでに、常にシワひとつない燕尾服のセバスさんは銀髪をピシッと整えた執事のような方だ。毎回飲み物の用意などをするためこの位置に座っている。「たまには私が」とマトラやカグラがやろうとするがセバスさん曰く。

「私がやりたくてやっておりますのでお気になさらず」

 フォッフォッフォッ、と笑うその顔は心底楽しそうで、それに私達はついつい甘えてしまう。

 

 会議室の中には既に数人いた。

 フォーゼさん、クラップさん、クロックくん、あ、ザックさんいるな。

 クロックが「お疲れ様です」と元気よく挨拶してくる。「お疲れ」と手を振って返すと手を振り返してくる。可愛いやつだ。

 ん、カグラが来てない?先に来てると思ったんだけど。

 いつもの席に座ろうとするマトラに、ザックが話しかけてきた。刀が横に置いてある。こんなとこにまで持ってくるのかこの人は。

「カグラは一緒じゃないのか」

「デスクにいなかったんで、もう来てるものかと」

 マトラが座ると、目の前にカップが置かれた。すぐに香りが鼻をくすぐる、私の好きなブラックコーヒーだ。

「ブラックコーヒーでございます」

 いつのまにか後ろに立っていたセバスが声をかけてくる。今日も綺麗な燕尾服だ。

「ありがとうございます。いただきますね」

 マトラはあることに気づく。口をつけて少し飲むだけのはずが、思わず味わってしまう。ちょっとだけ長く口に含ませ、喉に通す。

「おいしい。フルーティーな味わいは少し敬遠気味だったんですが、かなり飲みやすい」

「さすがはマトラ殿、これがわかるとは選んだ甲斐がありました」

 セバスさんが選んだコーヒー、豆か、焙煎か、細かいとこまでゆっくり話したいとこだな。

「あ、マトラ!」

 入ってくるとともに声を挙げたのはカグラだった。続けて叫ぶ。

「入れ違いかよ!チクショウ!」


─────つづく

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