第27話 やっぱり休むことも大事だよね
時は少し遡り、ここは地獄のとある場所。
シャンテンはなにやら熱心なマミーに訊く。
「マミー、どうよ。取ってきた奴らは」
「かなり面白いね」
マミーは操っている転生者を踊らせた。
「やはり管理局に設定されたスキルが転生者の身体に構築組成として組み込まれている。転生者が元から持つ残りの寿命を使えば、身体を触媒としスキルが発動できるかもね」
「ムズイ、簡単に説明してくれ」
「転生者の命と引き換えにスキルを使いたい放題ってワケさ」
しかし一転、困ったように続ける。
「だけど、転生陣が出せなくなった。管理局内だったからか?あの時は出来たのに地獄ではうんともすんとも言わん」
「転生陣は使えたらラッキー程度でいいだろ。そこまで欲しいわけじゃない」
「シャンテンは手、大丈夫なの?」
マミーはシャンテンの手当てされた両手に目を向ける。
「あれだけの炎熱を吸収したんだ。両手の火傷だけで済んで良かったよ。まだちょっとヒリヒリするけど」
手のひらをグッパッと開いて閉じてを繰り返す。それを見てマミーはほっとしたように「そっか」と返事をする。
シャンテンはマミーから目を離し、とある女に話しかける。
「さて。で、アンタの指示通り管理局を襲撃したわけだが、こっから先はどうすんの?」
訊かれた女は長い髪を後ろに束ね、嗤った。
「あくまでこれは下準備です。ここから必ず管理局は大きく動くはず。見逃さないようにしないとね」
口角を上げた女はフフッと声を漏らして続ける。
「さぁ管理局、どうでる?」
その笑みをシャンテンは一瞥し、眉をひそめたのだった。
──*──*──*──
時を戻して、現在の異世界管理局。
「十界って、管理局のメチャ
マトラのデスクは今日も賑やか。トームとカグラが駄弁っていた。
「その通りよ!さすがトームちゃんね!」
鼻を高くするカグラにマトラは言う。
「しかし、十界メンバーが全員集合となると嫌な予感しかしませんね」
──“十界”
局内の異世界術を使いこなす十人の実力者のことを指す。その中の数名は幹部職も担っており皆、日々忙しく仕事をこなしている。特別、他の局員よりも優遇されたりの処置は無いが、有事の際、場合によっては役職クラスの権限を与えられることもある。
「まぁ、どうせ今回の襲撃絡みでしょ」
「そうだと思いますが、だったら関係者だけでよいのではと…」
語気がだんだん弱くなっていくマトラにトームがショボボと泣き出す。
「わたしがもっと力になれれば。避難しかできなくてスイマセン」
「ちょっ!違いますよ!トームさんが気負う必要は全然ありません!」
「
「トームさんは十分過ぎるほど頑張ってます!私はトームさんのこと大好きですよ!大大大好きですから!だから泣かないで!」
オロオロと慌てふためくマトラは混乱しており、トームの頭を撫でる。
その様子を見て、煽ってたカグラも真顔になる。そして一言。
「私も泣いていいですか!!」
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