第25話 異世界転生 対 輪廻転生⑨

「マトラ!と……カグラも!」

「ザックさん!大丈夫ですか!」

「大丈夫!だけど、これどういうこと⁉︎」

 マトラが状況の説明をしようとしたらカグラに止められる。

「説明は後でもいいでしょうか!今はあの三名を捕まえるのが先です!」

 確かに、向こうも三人揃った。あとは撤退のみであろう。なにやら話している。

「つーことで、この手筈で頼むよシャンテン」

「OK!遅れた分はちゃんと働くから許してね!」

 シャンテンは手をかざし、唱えた。

「“放出”」

「!」

「マトラ!カグラ!下がれ!」

 その瞬間、もの凄い殺気を感じたマトラは反射的に伏せた。カグラは爆炎で空中に逃げる。

 部屋中に斬撃の跡が走る!これは!

「ザックさんの斬撃⁉︎」

 なんでアイツが?いや、そういう能力か!

 戸惑うマトラの視線は思わずシャンテンの後ろに移った。転生陣にシュララが入っていく。

「ヤバい!逃すか!」

「マトラ!ザックさん!ちょっと熱いの出します!」

 カグラが両手の炎を合わせる。

「異世界武装─ 爆炎燗鎧ばくえんかんがい!」

 カグラは両手の炎を圧縮する。

「からのぉ!必殺──」

 カグラは両手のひらを開き、光となった炎熱を放つ!

「“甕速日神えんじん”!」

 シャンテンは引きつった顔で笑う。

「ヤッベェな、こりゃタダじゃ済まねえ!」

 シャンテンは構える!

「エナジーロンダリング “吸収”!」

 カグラの熱線を渦巻きのように回して勢いを殺す。そのまま捏ねて球状にするとこっちに返す。

「エナジーロンダリング “放出”」

「返してきた⁉︎」

「異世界構築─不可視ふかし五割刀いつわりがたな

 返された熱線を両断!二つに分かれ左右に逸れる。

「まだだ!奴らを追う──」

 息巻くザックの言葉を遮ったのは、操作された転生者だ。いや、厳密には彼らが身体に巻きつけていた物。

 ダイナマイト⁉︎

 導火線の火は無慈悲にも雷管に到達し、光った。

 とてつもない轟音と共に爆発は全てを飲み込み、噴き出す炎は部屋を赤く染めた。




─────つづく



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