第23話 異世界転生 対 輪廻転生⑦
マトラとシュララは依然として戦闘中、大きく破壊された転生室にて向かい合っていた。
「第八界、マトラ。君の異世界は“強化”だ」
「……否定も肯定もしません」
「うん、それでいいよ」
シュララは話を続ける。様子を窺いながら、仮説を組み立てていくつもりか。
「“強化”と言っても純粋な身体能力の強化だけではなく部分での強化や防御の強化など多様に展開できる異世界だ」
「根拠は?」
「さっきの異世界武装は防御力の“強化”。カウンター狙いの技だね。異世界構築は空間内に入った後、パンチの重さが変わった。“強化”能力を腕だけに限定させて威力を底上げした結果、私は反撃できなかった」
シュララは問いかけてくる。
「どうかな?当たってる?」
マトラは大きく息を吐く。
しゃーない、やるか。
「ご名答。異世界──」
言葉を遮るように転生陣が光り出したのだ。戸惑うマトラ。
「?……転生陣⁉︎」
転生陣が光った……というより転生陣が出現した。一体誰が?
「お取り込み中かい?シュララ」
「すまねぇマミー!転生陣を守りきれなかった!」
「問題ないよ、こっちはこっちでいろいろ試せたし」
マミーと呼ばれた女は「よっこいしょ」と転生陣から出てくる。
シュララとかいうやつの仲間?マズくない?2対1になっちゃったじゃん。
「さて、帰るよ」
「異世界構築!」
逃げる気マンマン戦意ゼロか?ならそうはさせない!
とはいえ転生陣を出せる者がいる中で組み合っても逃げられる。まずは構築空間に閉じ込めて転生陣を無効化する。マトラは印を結ぼうと手を出した。
「そうくるよねー、でも残念」
マミーがパチンと指を鳴らすと、マトラの身体が急に沈んだ。
「あぇ!」
驚くマトラは足元に転生陣が開いている事を確認する。さっきまでこんなとこに転生陣はなかったはず。
やっぱりコイツ、転生陣を出現させている!
「ビンゴ!ここかぁ!」
掌の爆炎を推進力にして飛んできたのはカグラ!
「カグラ!そいつらを捕まえて!」
カグラは爆発と共に転生室に飛び込んできた。転生陣に沈んだマトラを救い上げる。
「ちょっと!私は別にいいって!」
「なに言ってんの!アンタも戦うんだよ!」
必殺カグラ爆投!
掴んだマトラをぶん投げる。マトラはその勢いのまま思いっきり拳をシュララに入れる!
骨の軋む音、めり込む拳、シュララの右脇腹を直撃!シュララはマトラに手のひらを向ける。
「発勁!」
マトラは吹っ飛ぶ。カグラがそれを見て思わず片眉を上げた。
「なにあれ!」
「発勁だ!手のひらから衝撃波を飛ばす!気をつけて!」
額から血を流すマトラはすぐに起き上がる。シュララも脇腹を抑えてえづいていた。
「ヤッベェ……モロに食らった」
「チッ、シャンテンと合流できればすぐなんだが。やれそうかシュララ」
カグラが相手に注意を払いつつ言う。
「もうすぐ増援が来るからそれまで足止めする。私だけで出来ると思う?」
「なるほど、そういうことか。なら──」
俄然、やる気が湧いてきた。あと少し、あと少しで終わるのだ。
「いっちょ、やりますかぁ!」
シュララも血をペッと吐き出し手首を回す。
「どうやら2対2らしいぜシュララ!いけるか?」
「勿論!」
シュララ&マミー 対 マトラ&カグラ
第二ラウンド、開戦!
─────つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます