第21話 異世界転生 対 輪廻転生⑤
「作戦B……ですか。やっぱ壊された時のこと考えてるんですね」
「当たり前だろ、少人数で来てんだから」
そう言ってシュララは床に手をつく。
「発勁!」
とてつもない衝撃で床が破壊される。
床が部屋ごと抜けたため、マトラも巻き込まれて落ちる。
落ちた先は下の階の転生室。間取り、レイアウトは先程いたところと変わらない。
二人は着地。動きが早かったのはこの状況を作り出したシュララだった。大きなガレキをマトラに向かって蹴り飛ばす。
マトラは難なくパンチで破壊するが回り込んだシュララの手刀が首筋にヒット。
「もらった」
「と、思うよね。普通」
シュララの頭を掴みそのまま床に叩きつける。痛みに表情を歪める。
「さすがに効いてるみたいですね」
コイツ、ほんとに効いてないのか!
しかし、シュララは余裕の貌を見せるマトラの首元に目がいった。
「⁉︎………なるほど」
シュララは足を払いにかかる。再び足元に「発勁」と衝撃を走らせる。
足場をとことん崩す気か!
「発──」
シュララがかざす掌に反応。距離を置くマトラ。シュララがガレキを飛ばす、弾くマトラ。弾く弾く弾く。だが!
マトラの手に何かかすった。
「やっぱりか、ソレは効くんだな」
かすったのはクナイ。切り傷から血が出てるのをシュララは見逃さなかった。
あくまで防げるのは“打撃”のみ。刃物を使った斬撃や炎などは防げない。それがマトラの異世界武装の効果である。しかし。
「気づくのが早すぎるな」
相手の洞察力、対応力を見誤ったか?長引かせるのはマズいかもしれない。
シュララが距離を詰めてくる。一つ大きく息を吐くと印を結んだのはマトラ。
「異世界構築──
異様な気配を察知し回避へと身体を翻そうとするシュララ。しかし空間構築のほうが早い。
シュララはバシャバシャと水が跳ねる音で思わず足元を見る。
「川ぁ⁉︎」
初動が早いマトラ。顔にかけられた水にシュララは反射的に目をつぶってしまった。
左をガードしたシュララ。逆サイドからフックを顎に当てる。揺れる頭。マトラが連打を繰り出す!
ガードが崩れたシュララはなす術なく殴られる!
「オッラァァ!」
最後の一発を食らったシュララは、なおも倒れない!
「頑丈すぎるでしょ、さすがに」
「………マトラさんでしたっけ?」
「ちゃんと効いてるから安心してよ。けどまぁ、やっとわかった」
「なにがですか?」
「君の“異世界”がなんなのか──ね」
─────つづく
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