第19話 異世界転生 対 輪廻転生③

 異世界術とは異世界管理局創設者達が発案した7つの技のことを指す。


 異世界転移

 異世界構築

 異世界武装

 異世界付与

 異世界拡張

 異世界能力

 異世界転生


 “異世界”は“個性”であり“能力”である。自らの特性が表れ、時に実体化された“異世界”は闘う武器となる。

 この7つの術を全て扱えるのは局長を含め10人。彼らを『実力者』と呼ぶものは少なくない。

 

  ───*───*───*───


「異世界武装─撥波靠腕はっぱこうわん!」


──異世界武装。異世界を具現化させたもの、またはその特性を自身に纏う術である。


「アンタ、剣や斬撃が武器じゃねぇのか」

 シュララの問いかけはおそらく、こちらの集中をかき乱すのが狙いか。だが逆効果、マトラの頭の隅に引っかかっていた違和感を取り除く結果となった。

「あのサキュバスは地獄の使者おまえたちの仕業か、合点がいった」

 こっちの手の内を探るためか?なんにせよザックさんに感謝だな。ザックさんの異世界付与で斬撃を借りといてよかった。


──異世界付与。異世界の能力を物体、他者に付与する術。対象に触れることが発動条件であることが多い。

 

「斬撃が武器じゃなかったら、困るか?」

「まさか。楽しみが1つ増えたよ」

 シュララとマトラは組み合う。

 サキュバス戦で見せたのは異世界転移のみだ。マトラ自身の“異世界”は知らないはず。


──異世界転移。別の異世界へと自分、及び相手を瞬間移動させる事が出来る。


 マトラは床を踏み割る。亀裂の入った床を砕きガレキを掴むと投げる。 

 飛んでくるガレキを避けたシュララ。しかし、視界からマトラは消えていた。背後に気配。

 シュララは振り向きざまに上段蹴り。

 が、そこにマトラははいなかった。

 厳密にはシュララの予測は当たっていた。確かに背後にいたのだ。姿


躰道・エビ蹴り


 低い姿勢から槍の如く放たれた蹴りは顔めがけて一直線。

 それは無防備なシュララに直撃。声を上げる間も無く衝撃が走った。マトラは追撃を入れようと体勢を戻すとシュララは左足で踏ん張る。マトラは唸る。

「へぇ、マジか」

 倒れないのかよ!

「さすがに効いた」

 マトラの右振りを華麗に避け、内に潜り込む。

「すまんね、異世界人」

 発勁!!

 衝撃がマトラの脇腹を貫く。シャツがエグり破られ肌があらわになる。

「よくやっt───」

 シュララの顔面に拳が入り、飛ばされる。

「言ったろ、異世界武装って」

 

─────つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る