第17話 異世界転生 対 輪廻転生①

「口寄せ。“災害虫”」

 巨大なイモムシが大きな口を開けて、カグラに迫る。

「キモい!」

「異世界付与─時の峡界」

 クロックが触れると動きが突然スローになる。そこにカグラが特大火力をぶち込む!

「ちょっと!僕まで燃やす気か!」

「ゴメン!なるはやで避難して──」

 カグラは頭上の影に気づき、即座に上を見る。無数の巨大蜂が尾の針を向けていた。

「カグラさん!」

「異世界武装─爆炎燗鎧ばくえんかんがい!」

 纏った炎を集め、刀型にし振りかざす。斬られた蜂は燃え落ちる。

「カグラさん、刀使えたんですか」

「いや、ザックさんのをかじっただけ」

 纏った炎が消える。マミーは大きなカエルの上で胡座をかいている。ゲーコ、と頬を膨らませ鳴くカエルは潤んだ目を何回も瞬きする。マミーは欠伸まじりに訊いてくる。

「攻撃してこないのか?」

「私たちはここを守るのが仕事よ」

 どこまでの長期戦になるのか予想できない以上、無駄な攻撃はやめたほうが良いだろう。相手もさっきから蜂だのイモムシだのを使ってくるだけ、マミー自身は後ろで座って様子見を決め込んでる。

 向こうも目的以上のことはしてこない…か?

「そんじゃ、コイツの試運転といきますか」

 マミーは懐から小さな萎びたコケシのようなものをいくつか取り出す。

 それらをまとめて握り潰すと宙に放り上げる。

「いきな、“混合転生─蛮勇操体ばんゆうそうたい”!」

 宙を舞うそれらはなにかから解放されたように体積を広げ人型となる。顔には口のみがついており、その筋肉質の身体は細身で異常なほど白い。

「これって───もしかして転生者達?」

「アンタ、趣味悪すぎるわよ」

 カグラは顔をしかめ、クロックですら不快感を表情に出すなか、マミーは楽しそうに答える。

「知ってる。よく言われるからね」


─────つづく




 

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