第16話 異世界転生 対 輪廻転生 開戦

 マトラは右手を真正面に打つ。

 フード女は膝を崩し、避けると右の掌底で顔を狙う。

 即座に反応。払うついでに掴んだ腕を一本背負いの流れ。思いっきり投げると壁に叩きつけ、すかさずドロップキックで追い打ちをかけた。

 フード女は壁を突き抜け、向こう側へと飛んだ。だが地獄の使者ならこの程度は準備運動だろう。

「良い蹴りだ!だが!」

 マトラは飛んできた瓦礫を拳で粉砕。背後にフード女が回り左で背面蹴り!ガードしたマトラ、だが勢いまでは殺せず、そのままぶっ飛ぶ。

「これで私は倒せない!」

 ぶっ飛んだ先、マトラは倒れた身体を起こし、転生陣へ向かう。立ち塞がるフード女をスライディングの体勢で避ける。

 よし!このまま転生陣を!

 いきなりシャツの肩部分を掴まれて放り投げられる。

「おっとっと」と投げられたマトラは姿勢を戻すが、即座に距離を詰めるフード女の上段突き。マトラは突きを躱すと左フック。相手の顔の側面を狙う。フード女はガードを間に合わせる。だが──。

 左フックの拳を開き、ガードした側面には当てず、手のひらをフード女の目の前で止めた。

 ん?

 すぐに手のひらが目の前から外され、そこには既に拳があった!

 マトラの右ストレートが顔にヒット!

 フード女の仮面が割れる。

 今のフック、攻撃と思わせといての目隠しブラインドか!!

 倒れかかる身体、右手を床につき後ろに跳ぶ。両者一旦距離を取る。

「仮面が割れた以上、これ被ってても仕方ねぇな」

 女はフードを服ごと脱ぎ捨てる。

 本番は、ここからだ。

「少しはやるね」

「そっちもね」

 マトラは再び構える。これは一筋縄ではいかなそうだ。

 脱ぎ捨てたフードの下から出てきたのは拳法着。中央に大きな円とそのなかに“獄”の字が書かれている。地獄の者で確定か。

「そういえば名乗ってなかったな」

 女は片足立ちで構える。

「地獄界・修羅道執行官のシュララ。以後お見知りおきを」

「異世界管理局・第八界のマトラです。よろしくお願いします」

 二人の視線はぶつかり、火花を散らした。





─────つづく

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