第10話 転生者一揆?

「徒党を組んで反乱を起こしたってどういうことですか?」

「異世界からこちらに侵入してきている、転生室は既に占拠された」

「でも勇者のステータスやスキルは異世界のみでの適用ですよね?こちらに来たらダメなのでは?」

 モンスターのスキルがその異世界のみで使えるように、転生者もステータスなどは異世界を出れば元に戻る。

「数人なら簡単に抑えられた。今回は数百人単位の転生者が雪崩れ込んできてる」

「多いですね」

「だから人手が欲しいんだよ」

 それで私を呼びに来たわけだ。

「転生室は?」

「96階の第7だ。渡り廊下ではドンパチやってるぞ」

 この異世界管理局は建物が二つある。マトラやトーム達が普段仕事をしている“本館”。転生室や装備室、武器庫、会議室がある“別館”。二の字で並んだ建物はところどころ渡り廊下で繋がっており上から見るとHの形になる。渡り廊下は1階、10階、20階…と10階ずつ設置されている。

 今回、1番近いのは100階だが相手の目的次第では90階の渡り廊下に殺到もあり得る。

「100階はクラップ、90階はカグラとクロックが抑えてる。マトラと私は別館に向かう」

 マトラとザックは跳ぶように階を上がっていく。

「転生者達が出入りしている転生陣を破壊する。出来れば転生者の制圧よりそっちを優先したい。敵の数が見えない」

「了解です、90の渡り廊下から行きましょう」

 2人は90階の渡り廊下に着いた。そこはすでに戦場であった。

「マトラ!とザックさん!」

「手伝う?」

「冗談?さっさと行ってコイツら止めて!どんどん湧き出てきてキリがない!」

「マトラさーん、お久しぶりでーす」

 カグラは両手に焰を纏い勇者達を食い止めていた。その勇者達を見て二人はすぐに異変に気づく。

 なんだ、この転生者達。目がうつろだ。

「操られて……ます?」とマトラ。

「なんか、不自然な動きだな。気になるところだがすり抜けて向かうぞ」

「…了解。カグラ、クロック、ここは頼んだ」

 カグラは両手の火力を上げていく。

「はなっからそのつもりよ!道開くわよ、クロック」

「オッケー、んじゃ行こうか」

 クロックは転生者達の間をスルスルと走っていく。転生者達にタッチしていくと、触れられた者の動きが止まる。

「止めました、お気をつけて!」

「ありがと、クロック!」

 止め損ねた転生者が襲いかかってくるが、それはカグラが炎弾でトバす。ザックが抜きかけた刀を納める。

「ザックさんは温存して下さい!」

「悪いね。サンキュー、カグラ」

 ザックとクロックを越えて、二人は渡り廊下を走った。




─────つづく

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