第6話 vsサキュバス
『モンスター名“八又ノ淫魔”です!』
「ヤマタノインマ…。ただのサキュバスでは
」
『スキャンデータをそのまま送ります!解析まで少々お待ちください!』
「了解」
送られてきたスキャンデータが出る。
見たところ各種ステータス情報は普通のボスだが、スキル表示の部分が#####である。エラーか?はたまたこれが原因か?
すると淫魔の尻尾の色が変わる。黒から赤へと8本の尾が全て変わった。
淫魔はマトラに突っ込んでくる!
とりあえず様子見、受太刀でいなすか。
マトラは刀で受ける体勢に入った。
が、しかし───。
ボキンッ!!
受けた刀は無残に折れ、淫魔の拳はマトラに届いた。
直撃。後ろの壁に叩きつけられるマトラ。叫んだのはトームだ。
『マトラさん!!』
「トームさん、慌てないで。解析を進めて」
動揺するトームに声を掛けたのは、とうのマトラだった。
「ちょっと喰らっただけ。問題無しよ。それよりスキャンデータを自動更新にできる?」
『了解……です。自動更新にして解析続けます』
スキャンデータ自動更新モードON。
「へぇ、そこが変わるのか」
さっき見たステータスが変わっている。全体的なステータスが爆上がりしているだけでなく攻撃力がMAXになっていた。
「攻撃力MAX……ね」
なるほど、攻撃力MAXなら本来壊れるなんてあり得ない武器や防具の類が壊されるのも納得だ。
「トームさん、今から言ったことを調べてください。わたしは少し時間を稼ぎます」
マトラは一言、二言伝える。
「よろしくね」
『了解です』
マトラは人差し指と中指を立てる。
「“裂”」
そう唱え、立てた指を線を引くように真一文字に振った。
すると、線を引いた道筋に斬撃が走る。
「これでどうだ」
斬撃は淫魔の首に当たる。斬撃はそのまま後ろの壁に爪痕を残した。ザックが口笛を吹く。
「容赦ないねぇ」
しかし狙いの淫魔の首には跡が残っているだけだった。
「え、なんで」
思わずマトラは声を挙げるがすぐに気づく。淫魔の尻尾がいつのまにか緑になってることに。
スキャンデータをすぐさま確認すると、ステータスがまた変わっている。
「今度は防御力MAX──。面倒くさいな」
『マトラさん、淫魔のステータスが殺された転生者のものと一致しました』
トームからの連絡、やはりか──。
相手のステータスを奪い、それらを使い分けられる勇者殺しとも言える能力。勇者が強ければ強いほど奪われたときにダメージが大きい。尻尾の色が変わればステータスも変わる感じだろう。
「うん、大体わかった」
「何がわかったって⁉︎MAX値を奪った私に、勝てるやつはいねぇんだよ!」
「そうでしょうね。勇者ではあなたは倒せない」
「わかってんなら、お前も──」
「勇者なら……ね」
淫魔は片眉を上げて「あぁ?」と声を出す。
マトラはゆっくりと自分の手を合わせ。
「さて、ここまでです。サキュバス」
印を結ぶ。そして唱えた。
「“異世界転移”───」
─────つづく
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