第138話 ・・・神は死んだ。迦具土、サポート足りてないわ
酒吞童子が倒されたことで、紅葉達の耳に神の声が届いた。
《おめでとうございます。個体名:秋山紅葉のパーティーが、日本で初めて牢獄型フィールドダンジョンを踏破しました。それにより、日本に残る2つのダンジョンの成長速度が半分になりました》
《紅葉はLv100になりました》
《紅葉の【
《紅葉はLv100になったことにより、進化条件を満たしました。これより進化を開始します》
《おめでとうございます。個体名:秋山紅葉は、ヒューマンで初めて
《紅葉の<火焔候>と<酒豪>が、<火焔公>に統合されました》
《紅葉は<長寿>を会得しました》
《おめでとうございます。個体名:秋山紅葉が、クエスト1-6をクリアしました。報酬として、迦具土の復活率が60%になり、迦具土は【
《響はLv96になりました》
《おめでとうございます。個体名:新田響が、クエスト1-6をクリアしました。報酬として、響の全能力値が50上がりました》
《ピエドラはLv96になりました》
《ピエドラの【
《ピエドラの【
《アランはLv92になりました》
紅葉の進化を神の声が告げると、周囲一帯が光に包み込まれた。
数分後に光が収まると、進化した紅葉の姿があった。
進化した紅葉は、色白だった肌が小麦色に変わり、耳が妖精のものに変わった。
それ以外の外見的特徴に変化はなく、楓のように神器のサポートで身長が伸びることもなかった。
「良かったね、紅葉。
「本当にそれ」
「良かったね、紅葉。絶壁のアイデンティティは失われなくて」
「・・・神は死んだ。迦具土、サポート足りてないわ」
『我にそんなことを求められても、どうしようもないのじゃ。それと、死んでおらぬし、お主が我を握っておるじゃろうが』
進化の際、迦具土が自分の身体的特徴を操作してくれることを願った紅葉だったが、現実は甘くなかった。
「ヘラさんはやってたわよ?」
『紅葉、無茶を言うでないのじゃ。ヘラと我では、神格が違うのじゃ』
「そんなこと、自分で言ってて悲しくないの?」
『悲しいのじゃ。わかってるなら、それを我の口から言わせないでほしかったのじゃ』
紅葉に痛い所を突かれ、迦具土は悲しそうに言った。
いつまでも、変わらないものを変わると願って待つのも無意味なので、紅葉はこの場で巨乳になることは諦めた。
そして、自分の能力値がどう変わったのかを確かめることにした。
「【
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名前:秋山 紅葉 種族:
年齢:25 性別:女 Lv:100
-----------------------------------------
HP:800/800
MP:800/800
STR:1,200(+120)
VIT:1,200(+60) (+50)
DEX:1,250
AGI:800 (+50)
INT:800
LUK:800
-----------------------------------------
称号:<RPGプレイヤー><臥薪嘗胆><
<火焔公><凸凹コンビ><長寿>
職業:
スキル:【
【
-----------------------------------------
装備1:迦具土(蜻蛉切スキン)
装備1スキル:【
【
装備2:ボマーガントレットVer.2
装備2スキル:【
装備3 :
-----------------------------------------
パーティー:新田 響
-----------------------------------------
従魔:ピエドラ(グラトニーブラッド)
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「INTが800かぁ。私のスキル構成からすると、もっとINTが欲しいわね」
「何言ってんの。僕からすれば、羨ましいぐらいなんだけど。嫌味なの?」
「フッ、これが旧人類には越えられない壁なのね」
「調子に乗んな、永遠の0」
「おい、今なんて言った?」
「紅葉のまな板<<<<越えられない壁<<<<僕の胸」
「OK。その喧嘩、今すぐ買ってやるわ」
『これ、待つのじゃ! 帰るまでがダンジョンじゃというのに、何をはしゃいでおるのじゃ!』
身の安全を完全に確保できた訳でもないのに、紅葉と響がくだらない言い争いをしているので、迦具土は2人を注意した。
「「ごめんなさい」」
迦具土に注意され、今いる場所が安全地帯ではないことを思い出し、紅葉達はすぐに謝った。
それから、紅葉達は酒吞童子を倒して出現した宝箱を開けることにした。
今回は、ピエドラが大活躍したので、宝箱を開ける権利は紅葉のものとなった。
早速、紅葉が宝箱を開けると、中に入っていたのは紅葉達にとって見覚えのあるガラス球だった。
「これ、転職玉よね?」
「転職玉だね」
「響、欲しい?」
「う~ん、まだ転職するかは考え中だけど、とりあえず貰っとく」
手を前に出し、響が転職玉を貰おうとすると、紅葉は転職玉を引っ込め、それを持っていない方の指を左右に振った。
「違うでしょ? 転職玉を下さいじゃないの?」
「くっ、紅葉が足元を見た」
「足元ついでに、靴でも舐めてもらおうかな?」
「信じられない。流石は楓の姉。言うことがえぐい」
「あっ、今の楓に言っちゃおっと」
「しまった・・・」
またしても、くだらないやり取りを始めたため、迦具土は話題を無理やり変えることにした。
『【
その瞬間、紅葉の手に握られていた迦具土が光り始めた。
光に覆われた迦具土が、紅葉の手から離れ、そのシルエットは人型へとその形を変えた。
光が収まると、紅葉達の前に小学校低学年の赤いぱっつんヘアーの和装美少女の姿があった。
「お主ら、いい加減にするのじゃ」
「マジモンののじゃロリ!」
「否定できない。これぞのじゃロリ」
「誰がのじゃロリじゃ! 我はクールビューティーなのじゃ!」
「クールビューティー? フッ」
「フッ、寝言は寝て言ってね」
紅葉と響に鼻で笑われ、迦具土は激怒した。
「馬鹿にするでないのじゃ! 我が復活したら、それはもう世の男共の視線を釘付けにしてしまうのじゃ!」
「へぇ、そんなことしたら、迦具土は楓とヘラさんに消されるんじゃない?」
「ぐぬぬぬ・・・」
「紅葉、これ以上幼女を虐めたらかわいそう」
「誰が幼女じゃ! 異議ありなのじゃ!」
断固抗議する姿勢を見せた迦具土に対し、紅葉達は頷き合うと魔石とモンスターカードを回収し、撤収の準備を済ませた。
「これ、逃げるのか!? 我は幼女ではないのじゃ!」
「はいはい。奏君達が待ってるだろうし、早く帰るわよ」
「・・・おのれ、お主達覚えておるのじゃ。我を馬鹿にしたこと、いつか倍返しにしてやるのじゃ」
「迦具土、倍返しするのは良いけど、そもそも倍返しするには私の協力が必要だよね? 私が協力するのを止めたら、どうなるのかな~?」
「ぐぬぬぬ・・・」
「だから、これ以上幼女を虐めたらかわいそうだって」
「幼女呼ばわりは止めるのじゃぁぁぁ!」
「足速いわね」
「意外」
迦具土に追いかけられながら、紅葉達は酒吞童子を倒したことで根本中堂の隅に出現した転移陣の上まで移動し、延暦寺から脱出した。
その後、紅葉達は双月島に帰った。
到着したのは、夕方になった頃で、神殿に帰って来た紅葉達を迎え入れたのは、楓の【
おかえりと声をかけられるよりも前に、2日間も風呂に入っていないことを楓が許容できなかったからである。
安全な神殿に帰って来たことで、ようやく本当の意味で紅葉達の延暦寺遠征は終わりを告げるのだった。
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