第71話 困った時の神頼み! いや、神って俺様だから!
響がアルとブランを従魔にして従魔の証を付けると、アルもブランもホッとした顔つきになっていた。
アル&ブランに何ができるのか、それだけは確かめておきたいと響は考えた。
「【
-----------------------------------------
名前:アル&ブラン 種族:ツインヘッドイーグル
年齢:22歳 性別:雄 Lv:48
-----------------------------------------
HP:480/480
MP:200/480
STR:530
VIT:480
DEX:430
AGI:480
INT:530
LUK:430
-----------------------------------------
称号:<響の従魔>
スキル:【
-----------------------------------------
装備:従魔の証(響)
-----------------------------------------
響が確認したアル&ブランの能力値は、STRとINTが高くてDEXとLUKが低いという特徴があった。
また、ルナやサクラと違って属性スキルを会得していなかった。
「休ンデ良イッスカ?」
「飛ビッ放シデ疲レタッス」
「良いよ。お疲れ様。西側の森には今はモンスターがいないから、何か捕食したかったら東側の森に行くと良いよ。僕は神殿に住んでる。用がある時は呼ばせてもらうからね」
「「ドウモッス」」
響に礼を言うと、アル&ブランは東側の森に飛んで行った。
「下っ端口調だったな」
「そうですね。しかも、ニートっぽい感じがしました」
「わかる。響とアル&ブランが組んだらマズかったんじゃない? この島の警備しかしなさそう」
「奏ちゃん達、失礼。ニートって呼ばないで、自宅警備員と呼んであげて」
訂正を入れるべき所はそこじゃないだろう。
それはそれとして、響の従魔も無事に見つかったので残るは紅葉だけだ。
アル&ブランが到着してから30分以上経過したが、後続の幻獣系モンスターが来なかったので紅葉は大きく息を吸って角笛を吹いた。
ブォオォ~♪
ほら貝のような音色が角笛から奏でられた。
それから5分も経たずに、奏達の聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。
「ギィアァァァッ!」
『パパ、殺って良い?』
その声の正体はワイバーンだった。
ワイバーンに襲われ、奏達に助けられなければ死んでいたかもしれないので、ルナはワイバーンを嫌悪している。
「良いよ。ルナ、射程圏に入ったら存分にやっちゃいな」
『ありがとう、パパ!』
「それよりもバアル、ワイバーンって幻獣系モンスターじゃないのになんで角笛の音に反応したんだ?」
ルナの頭を撫でてルナをリラックスさせつつ、奏はバアルにワイバーンが来た理由を訊ねた。
『あいつら馬鹿だからなぁ。同胞の鳴き声と勘違いしたんじゃね?』
「そこまで馬鹿なのか?」
『おうよ。馬鹿過ぎてドラゴンには同種扱いしてもらえず、無駄に強いから他のモンスターにも厄介者扱いされる残念なモンスターだぜ』
「ルナちゃん、そろそろいけるんじゃない?」
『ママ、ありがとう! 殺っちゃうよ! 【
スパッ!
「ギィァァァッ!?」
ルナの前脚から鋭い鎌風が放たれ、奏達目掛けて一直線に飛んでいたワイバーンの右翼の付け根を切断した。
ワイバーンは右翼を失い、バランスを保てなくなって海へ墜落した。
「ルナ、行こうか」
『うん!』
ルナの背に奏が飛び乗ると、ルナはワイバーンにとどめを刺しに墜落地点へと飛び立った。
「【
ルナが切断したワイバーンの右翼を、水没したら勿体ないと思って奏が回収した。
「ルナ、もう片方も斬っちゃえ」
『任せて! 【
スパッ!
「ギィァァァァァッ!?」
「【
ワイバーンの左翼も、ルナが切断してすぐに奏が回収した。
『ついでに尻尾も! 【
スパッ!
「ギィァァァァァッ!!」
「【
これで両翼と尻尾を奪われたワイバーンはもがくこともできないただの的になった。
「ラスト」
「うん! 【
スパッ! パァァァッ。
《ルナがLv67になりました》
《ルナの【
《サクラがLv33になりました》
《サクラがLv34になりました》
《サクラがLv35になりました》
《サクラがLv36になりました》
《サクラがLv37になりました》
《サクラがLv38になりました》
《サクラがLv39になりました》
《サクラがLv40になりました》
《サクラが【
神の声が、ルナとサクラのレベルアップとスキルの変更を告げた。
『おい、奏! 魔石が沈んじまう! ついでにカードも!』
「ヤバっ! 【
シュゥゥゥッ。
バアルに指摘され、慌てて魔石とマテリアルカードを回収すると、奏はバアルに魔石を吸収させた。
その後、奏はワイバーンのマテリアルカードの絵柄を確認してみた。
そこには余白を埋め尽くす量の霜降り肉のイラストが描かれていた。
「バアル、これってワイバーンの肉?」
『そうじゃね? でも、良いじゃんか。ワイバーンの肉、美味いぞ』
「マジか。なら良いや」
『もう、パパってば! お肉じゃなくてルナを見て!』
折角、自分が憎きワイバーンを倒したのに奏がバアルと喋ってばかりだったので、ルナは不機嫌だった。
「おっと、ごめんよ。ルナ、ちゃんとルナだけで倒せたな。偉いぞ」
『エヘヘ♪』
ルナ、それはチョロ過ぎやしないだろうか。
奏に褒められ、優しく頭を撫でられたことでルナはすっかりご機嫌になった。
「なあ、バアル。なんで響のレベルは上がらなかったんだ? あいつ、ルナと同じくらいじゃなかったっけ?」
ルナの機嫌を良くしてから、奏はバアルに疑問をぶつけた。
『そりゃお前、昨日あいつらと別行動したきりで、お前のパーティーにはルナと楓嬢ちゃん、サクラしかいねえからだろ』
「あれ、そうだったっけ?」
『まあ、そのままの方が良いと思うぜ』
「なんで?」
『だってよぉ、普通に考えて全員が従魔を持つようになったらパーティーが定員オーバーになるじゃんか』
「確かに」
『それに、楓嬢ちゃんはお前とパーティーを解消したら闇落ち待ったなしだろうし、サクラはその従魔だからセットになる。このままで良いんだよ』
『そうだな』
バアルに心配される楓の病み具合に納得し、奏はバアルの言う通りにしようと思った。
『パパ、ママ達の所に戻るね~』
「頼んだ」
『は~い♪』
機嫌が良いルナの背に乗ったまま、奏は楓達の待つ海岸に戻った。
「おかえりなさい、奏兄様、ルナちゃん」
「ただいま」
『ただいま~。ママ、見ててくれた? ルナ、ワイバーンやっつけたの』
「立派だったよ。偉いね、ルナちゃん」
『でしょ~?』
楓からも褒められてルナはますますご機嫌になった。
ルナの背から降りると、奏は紅葉に声をかけた。
「もう1回吹くか?」
「勿論よ。私だけ、幻獣系モンスターを従魔にできてないんだもの。諦めたらそこで試合終了よ」
「バスケじゃねーだろ」
「高城先生、従魔がほしいです」
「紅葉、そのネタ引っ張るけど好きなの?」
ブォオォ~♪
紅葉は頷く代わりに、角笛から奏でられたほら貝のような音で応じた。
3度目の正直という言葉がある。
1度目は相性を考慮して響に譲った。
2度目は馬鹿なワイバーンが呼び寄せられてしまい、ルナが倒した。
今度こそはという期待を込め、紅葉は角笛を吹き終わると両手を組んで祈った。
『困った時の神頼み! いや、神って俺様だから!』
「バアル、勝手にノリツッコミしてんの?」
『いやぁ、お前に出会ってから、祈ってる奴を始めてみたから、つい』
言われてみれば、そうかもしれないとその場にいる誰しもが思った。
実際、奏達は誰も神頼みのポーズを今までにしてこなかった。
だから、神に祈るポーズを見てバアルは感慨深くなったのだろう。
『ん? こりゃまた不思議な反応だな。少なくともワイバーンじゃねえが、いったい何が来た?』
紅葉の願いが届いたのか、3度目は少なくともワイバーンではないらしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます