第47話 あれは、昨日の目隠し触手プレイ!?
海岸の探索を再開して20分後、バアルが奏に話しかけた。
『ケケケ。奏、リベンジタイムが来たらしいぜ?』
「リベンジタイム?」
奏がバアルに訊き返した瞬間、海面に一斉にブラインドオクトパスとそれに巻き付いたテンタクルスシーウィードの集団が現れた。
「あれは、昨日の目隠し触手プレイ!?」
「まだ言うのか」
「奏兄様、この変態は捨てていきましょう。私、奏兄様とお昼寝したいです」
「まな板姉、ソロプレイファイト」
「だから、冗談だってば!」
『んん? なんか様子が変だぜ? あいつら、何かに怯えてねえか?』
紅葉の叫びをスルーして、バアルが奏に問いかけた。
「確かに。何体か後ろを気にしてるみたいだ」
「奏ちゃん、あいつらを捕食できるモンスターが来てるんだよ」
「なるほど。その可能性が高そうだ」
「奏兄様、戦いますか?」
「あいつらで腹を満たす奴なら良いが、そうなる気はしないんだよな」
「わかりました。【
ザッパァァァァァン!
「シャァァァァァッ!」
楓が自分以外の強化を終えた瞬間、巨大な青緑色の海蛇が海中からその姿を現した。
『シーサーペントじゃねえか! 奏、経験値ウマウマだぜ! 絶対倒してくれよな!』
「はいはい。紅葉、響、その他大勢は任せた。【
ポチャン。
「シャァッ!?」
砂浜に落ちていた流木と、先程までいた位置を入れ替えられ、シーサーペントは戸惑っていた。
その隙を見逃す奏ではない。
「【
ゴォォォォォッ! ザザザザザァァァァァッ!
足場の砂と一緒に、台風がシーサーペントの巨体を空へと舞い上がらせた。
しかし、HPが高いのか、シーサーペントは打ち上げられただけではHPを全損しなかった。
それでも、奏にとっては全く問題ない。
「【
ジジジジジィン! バキィッ!
光り輝く水が、ウォータージェットのように放たれ、大口を開けていたシーサーペントの牙に命中し、牙が根元から折れた。
「シャァァァァァッ!?」
牙を折られた痛みで、シーサーペントが叫んだ。
『アンコール! アンコール!』
「わかってるって。【
ジジジジジィン! バキィッ!
バアルが歌手のライブのようにおねだりすると、奏は静かに応じた。
「ジャァ゛ッ!?」
牙を折られる痛みが重なり、シーサーペントから濁った叫び声が聞こえた。
「【
ピカッ、ジィィィィィン! パァァァッ。
『チッ、なんだよ! マテリアルカードかよ!?』
奏にとどめを刺され、魔石とカードになってしまったシーサーペントだが、そのカードがマテリアルカードだったため、バアルは悪態をついた。
その一方、ブラインドオクトパスとテンタクルスシーウィードの集団と紅葉達の戦いも終わりに近づいていた。
「【
ズドンッ! ビビビビビッ! パァァァッ。
「痛っ!?」
「何やってんの紅葉お姉ちゃん!? 【
海に【
間抜けな行動に呆れつつ、楓はすぐに【
ダメージ量よりも、回復量が多かったおかげで、紅葉が大ダメージを受けることはなかった。
「馬鹿なの? 【
ジュワァッ。パァァァッ。
辛うじて、感電から逃れて生き残ったブラインドオクトパスに、とどめを刺しつつ、響は紅葉を呆れた目で見ていた。
《奏はLv57になりました》
《奏はLv58になりました》
《奏はLv59になりました》
《楓はLv55になりました》
《楓はLv56になりました》
《楓はLv57になりました》
《楓の【
《楓の【
《紅葉はLv52になりました》
《紅葉はLv53になりました》
《紅葉はLv54になりました》
《響はLv33になりました》
《響はLv34になりました》
《響はLv35になりました》
《響はLv36になりました》
《響はLv37になりました》
《響はLv38になりました》
《響はLv39になりました》
《響はLv40になりました》
《響の【
神の声が聞こえなくなると、バアルが自己主張し始めた。
『おい、奏! 俺様もレベルアップ早よ!』
「わかったから、ちょっと待て」
シュゥゥゥッ。
《バアルはLv57になりました》
《バアルはLv58になりました》
《バアルはLv59になりました》
『ヒャッハー! 俺様、レベルアーップ! シーサーペント、良い仕事するじゃねえか!』
バアルがご機嫌になった。
ようやく、奏はシーサーペントからドロップしたマテリアルカードに加え、2回の【
「えっ、鰻?」
奏がマテリアルカードに見た絵とは、カードにびっしりと描かれた鰻だった。
『鰻は栄養が豊富なんだから、当たりの部類じゃね? ま、モンスターカードにゃ敵わねえけどな!』
「それもそうか。貴重な食材だ。文句はないよ」
鰻は高タンパクで、しかも高ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEやDHA・EPA、 鉄、亜鉛、カルシウム、銅等のミネラルまでも豊富で消化に良い。
そんな食材がわんさと手に入ったのだから、喜びこそすれど文句を言うことなどあり得ない。
奏がじっと鰻のマテリアルカードを見ていると、響が奏に近づいた。
「奏ちゃん、こっちもマテリアルカードが2枚あったよ」
「マジ? 何が描かれてた?」
「タコの刺身とわかめ」
「順当だな」
「そだね」
ブラインドオクトパスとテンタクルスシーウィードからドロップしたのなら、タコの刺身とわかめが描かれていたとしても不思議じゃない。
「そろそろ帰るか」
「それが良いと思います」
「帰ろー帰ろー」
「賛成」
楓達もそれに賛成し、今日の探索はこれまでとなり、奏の【
帰宅後、楓の強化された【
夕食にするには時間が早いので、奏達は夕食まで自由時間を設けた。
リビングでは、楓と響が奏を挟み、どちらも奏に体重を預けるようにして眠っていた。
間に挟まれた奏も、ゆったりした雰囲気の中起きていられるはずもなく、当然寝ている。
バアルも奏の手の甲に戻っているため、起きているのは紅葉だけになってしまった。
そんな中、紅葉は人を駄目にするクッションでぐでーっとしながら、掲示板のモンスタースレを更新することにした。
掲示板の住人達は、紅葉が情報を提供するとチヤホヤしてくれるので、紅葉は響にまな板と連呼された心の傷を掲示板で癒したいのだ。
◆◆◆◆◆
モンスタースレ@1
1.
日本人冒険者に限定公開されたモンスターに対して情報共有を行うスレッドです。
誹謗中傷等、他者を意味なく害する者は、本機能の利用停止処分とします。
不適切なコメントをした者も、同じく本機能の利用停止処分とします。
また、私は一切の質問に回答しませんので、質問しても無駄です。
以上を理解したうえで、本機能を有効活用して下さい。
◇◇◇◇◇
586.大間の
魚系モンスターの情報を追加するぜ
ちゃんと、【
今度は正式名称で共有できるぞ
・ブラッディシャーク
映画で有名な鮫によく似た見た目のモンスター
血に敏感で、遠くからでも嗅ぎ付けて襲い掛かって来る
銛で突こうとしたが、ザラザラした肌に弾かれた
587.函館の
>586
ジ〇ーズかよ
大間って函館近いから、こっちにも出るんかな?
こっちは、こんなの出たぜ
・ロケットフィッシュ
見た目はマグロのモンスター
止まるとHPの残存量に関わらず倒れるけど、止めるのが難しい
STRが高いから、突進を避けないとダメージを受ける
588.秋葉原の
色々あって、秋葉原から島に移動したけど、そこで発見したモンスターで
まだこのスレッドに載ってないものを列挙する
・コーラルタートル
巨大なウミガメのモンスター
甲羅は大岩みたいで、サンゴがあちこちから生えていて、
赤みを帯びた黄色に濃褐色の斑点がある
VITが異様に高く、甲羅の中に入られると厄介
甲羅を砕けば、どうにか倒せるけどそれまでが大変
【
甲羅はびくともしなかった
STRかINTの高い者同士で攻撃が必須
・シーサーペント
巨大なウミヘビのモンスター
ブラインドオクトパスやテンタクルスシーウィードを捕食する
牙を折ると怯む
鰻のマテリアルカードをドロップする
589.上野の
>588
秋葉原の
でも、瓦礫まみれの都心よりも、そっちの方が良いかもですね。
いつも情報ありがとうございます
私からも、1つだけ目撃情報を取り急ぎ載せます。
・ワイバーン
前脚(もしくは腕)が翼になっている竜で、尻尾には棘があるモンスター
戦った訳じゃなく、東の空に飛んでいくのが見えただけですが、
危険だと思ったので共有します
◆◆◆◆◆
「女の上野の冒険者さん、
紅葉の呟きが、後でフラグだったことを知るのは、この場において紅葉しかいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます